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化石燃料の埋蔵量ランキング~シェールガス/オイルで勢力図に変化?~

今回は原油・石炭・天然ガスの埋蔵量、そして今後注目のシェールガス、シェールオイルの埋蔵量についてのランキングです。

 

採掘現場

 

世界の化石燃料事情

原油価格は2014年の後半から下落傾向が続き、世界経済にもさまざまな影響を及ぼしてきました。
とりわけ産油国は深刻な影響をうけ、サウジアラビアは抜本的な経済構造改革に取り組むことを余儀なくされ、ベネズエラは経済破綻に追い込まれています。

フランス、イギリス両政府が石油で動く自動車の全廃を打ち出すなど、脱化石燃料の流れが強まりつつあるなか、中国が本格的な「天然ガスシフト」を表明するなど、化石燃料はまだまだエネルギーの主役としての地位を維持するとみられます。

こうした流れの中で、シェールガスシェールオイルなど、新たな化石燃料の資源開発も進みつつあります。また大量の天然ガスが「メタンハイドレイド」として、海底や地下に眠っているとも言われております。

今回はそれぞれの燃料種類別の埋蔵量のランキングです。

 

原油埋蔵量Top
(世界全体 1兆6966億バレル)

1位:ベネズエラ    3033億バレル  (17.5%)

2位:サウジアラビア  2977億バレル  (17.2%)

3位:カナダ      1678億バレル   (9.7%)

4位:イラン      1556億バレル   (9.0%)

5位:イラク      1472億バレル   (8.5%)

(出典:BP Statistical Review of World Energy June 2019)

ベネズエラは世界最大級の原油埋蔵量を誇りながらも、アメリカの経済制裁や左派政権下での設備投資不足などにより、原油生産量の低下に歯止めがかからない状況が続いています。

 

石炭埋蔵量Top5
(世界全体 1兆350億トン)

1位:アメリカ     2502億トン  (23.7%)

2位:ロシア      1604億トン  (15.2%)

3位:オーストラリア  1474億トン  (14.0%)

4位:中国       1388億トン  (13.2%)

5位:インド      1014億トン   (9.6%)

(出典:BP Statistical Review of World Energy June 2019)

総埋蔵量の約4分の1がアメリカとなっています。原油や天然ガスより温室効果ガスの排出量は多いものの、発電に用いられるなど、依然として重要なエネルギー資源となっております。
特に価格の安い石炭は、新興国や途上国にとって電力不足をまかなう切り札になっており、「脱石炭」の流れに逆行する形となっております。

 

天然ガス埋蔵量Top5
(世界全体 193兆4516億㎡ )

1位:ロシア      38兆9361億㎡  (19.8%)

2位:イラン      31兆9335億㎡  (16.2%)

3位:カタール     24兆6961億㎡  (12.5%)

4位:トルクメニスタン 19兆4857億㎡  (9.9%)

5位:アメリカ     11兆8881億㎡  (6.0%)

(出典:BP Statistical Review of World Energy June 2019)

総埋蔵量の半分近くが中東に存在し、ロシアも世界全体の5分の1もの埋蔵量があります。

一般に貯蔵や輸送のために天然ガスを冷却し液体にしたものをLNG(液化天然ガス)と言います。

 

シェールガス/シェールオイルとは

シェール層(頁岩層)という地下数百~数千mの堆積岩の層から採取される天然ガスをシェールガス」、原油成分をシェールオイル」と言います。

ともに以前は岩盤から掘り出すのが困難したが、21世紀に入ってから、技術革新によって容易な採掘が可能になってきました。

一方で、ヨーロッパ諸国では環境負荷が高いため、採掘を禁止している国もあります。

以下に世界のシェールガス、シェールオイルの可採埋蔵量データを示します。これらは現在の技術で採掘可能範囲での数値となっており、採算性などは考慮されていないため、すぐに掘り出せるのではありません。 しかし、今後技術開発が進み、採算性と環境への影響がクリアされれば、世界のエネルギー勢力図が塗り替えられる可能性もあります。

 

シェールガス可採埋蔵量ランキングTop5

1位:中国      31.6兆㎡ (14.7%)

2位:アルゼンチン  22.7兆㎡ (10.5%) 

3位:アルジェリア  20.0兆㎡ (9.3%)

4位:アメリカ    17.6兆㎡ (8.2%)

5位:カナダ     16.2兆㎡ (7.5%)

(出典:EIA「World Shale Resource Assessments」)

 

シェールオイル可採埋蔵量ランキングTop5

1位:アメリカ    782億バレル (18.6%)

2位:ロシア     746億バレル (17.8%)

3位:中国      322億バレル (7.6%)

4位:アルゼンチン  270億バレル (6.4%)

5位:リビア     261億バレル (6.2%)

(出典:EIA「World Shale Resource Assessments」)

 

シェールガス、シェールオイルの可採埋蔵量いずれも中東以外の国が上位になっております。またシェールオイルの可採埋蔵量のトップはアメリカとなっています。

これにより、これまで原油価格に影響を与えてきたOPEC(世界石油輸出国機構)諸国の地位が低下し、軍事でも経済でも覇権を握るアメリカが、エネルギーでも世界の覇権を握る可能性も出てきました。

 

 未来のエネルギー「メタンハイドレード」

 近年、海底下の地層中に封じ込められた「メタンハイドレード」という資源に注目が集まっています。

「メタンハイドレード」はメタンなどの天然ガスが水と結合してできた、個体の結晶のことで、天然ガスの一種です。

見た目は氷に似ていて、火を近づけると燃える性質があり”燃える氷”とも言われています。そして、燃えた後には水しか残らないという、とても不思議な物資です。

 

世界の「メタンハイドレード」埋蔵量

世界の「メタンハイドレード」は、陸域で数十兆㎥、海域で数千兆㎥と推定されており、これは世界天然ガス埋蔵量の10倍天然ガス、原油、石油の総埋蔵量の2倍以上といわれています。

 

日本の「メタンハイドレード」埋蔵量

日本周辺の南海トラフ(東海地方沖から宮崎県沖)北側に4200億~4兆2000億㎥存在し、南海トラフ、北海道周辺海域には、6兆㎥が存在すると言われています。

これは日本の天然ガス使用量の100年分に匹敵する量となります。

つまり、日本近海には世界最大量のメタンハイドレードを誇っていて、日本も世界の資源大国になる可能性を秘めております。

このように日本にとっては夢の資源ではありますが、莫大な研究費用が必要になるため、商業化にはいたっておりません。

 

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