マイクロプラスチック(MP)とは
環境中に存在する微細なプラスチック粒子であり、特に海洋環境においては極めて大きな問題になっています。
海に流出したプラスチックは、波や紫外線による劣化の影響で段々と細かい断片に砕かれていき「マイクロプラスチック(MP)」となります。
プラスチックごみが細かく砕かれたもの以外にも、洗顔料や歯磨き粉に含まれるマイクロビーズと呼ばれる小さな粒などがあります。
マイクロプラスチックは有害な化学物質が付着しやすくなることが知られており、海洋生物がマイクロプラスチック及びそれに付着した有害物質を摂取し、食物連鎖による生物濃縮によって海鳥や人間の健康にも影響することが指摘されています。
一般的には大きさが5㎜以下のものをマイクプラスチックと呼びます。
そして半永久的に分解しないため、海のごみとしてたまり続けることになります。
国別プラスチックごみ排出量ランキング
(順位:国名 年間排出量 1人1日当たり排出量)
1位:中国 排出量5908万t(0.12㎏)
2位:アメリカ 排出量3783万t(0.34㎏)
3位:ドイツ 排出量1448万t(0.49㎏)
4位:ブラジル 排出量1185万t(0.17㎏)
5位:日本 排出量799万t (0.17㎏)
6位:パキスタン 排出量641万t (0.10㎏)
7位:ナイジェリア 排出量596万t (0.10㎏)
8位:ロシア 排出量584万t (0.11㎏)
9位:トルコ 排出量560万t (0.21㎏)
10位:エジプト 排出量546万t (0.18㎏)
(Jambeck Research Group )
10の河川からプラごみの9割が排出
ドイツの研究チーム「ヘルムホルツ環境研究センター」の発表では、川から海に流れ込むプラスチックごみの9割程度が、アジアとアフリカの計10の河川を汚染源としているとの研究結果を明らかにしました。
下記に2015年に初めて行われた世界のプラスチックごみの調査結果からプラスチックごみの多い河川をご紹介いたします。
プラスチックごみの多い河川ランキングTOP10
1位:長江(中国):33.3万t
2位:ガンジス川(インド):11.5万t
3位:西河(中国):7.4万t
4位:黄浦江(中国):4.1万t
5位:クロス川(ナイジェリア・カメルーン):4.0万t
6位:アマゾン川(南米地域):3.9万t
6位:ブランタス川(インドネシア):3.9万t
6位:パシッグ川(フィリピン):3.9万t
9位:エーヤワディ川(ミャンマー):3.5万t
10位:ソロ川(インドネシア):3.3万t
(Nature Commuications)
上記のように上位の河川のほとんがアジアの川となっています。これは、アジアの国々がこれまで世界のプラスチックごみの受け入れ国になっていたことも密接に影響していると考えられます。
これを受けて中国は2017年よりプラスチックごみの輸入を禁止することを決定しました。
また東南アジアの国々においても、2018年以降代替輸出先となったことで処理能力が限界を超え、各国で輸出管理が強化されております。
2050年に「海洋プラごみゼロ」へ
深刻化する海洋プラスチック問題の解決に向けて、国や企業の動きも加速しています。世界に展開するマクドナルドやスターバックスの両社は、18年夏、プラスチック製ストローの廃止を打ち出しました。
その後、日本でもすかいらーくホールディングスやセブン&アイ・ホールディングスなど外食や流通大手に波及しました。
19年6月の大阪で開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、50年までにプラスチックごみによる新たな海洋汚染をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に合意しました。
またプラスチックごみの削減に関する初めての国際枠組み「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組み」にも合意し、各国が自主的な対策を実施し、進捗状況を定期的に報告、共有することが決まりました。
MPのもとになる5大プラスチック
プリスチレン(PS)
:ハンガー、食品用トレー、プリンター
高密度ポリエチレン(HDPE)
:バケツ、洗剤ボトル、灯油タンク
低密度ポリエチレン(LDPE)
:レジ袋、ラップ、紙パック飲料
ポリエチレンテレフタート(PET)
:ペットボトル・卵パックなどの透明な容器、包装フィルム・衣類の繊維
ポリプロピレン(PP)
:ストロー、ペットボトルキャップ、文具、医療器具
(参考:環境省公式サイト)
各国の取り組み
EUは、2019年3月に食器やストロー、スプーン、フォーク、綿棒の芯などの使い捨てプラスチックを21年から禁止する法案を可決しました。カナダにおいても、EUに続き21年からレジ袋やストローなど使い捨てプラ製品を禁止すると表明しました。
また日本においては、20年4月→7月にもレジ袋の有料化を義務付ける予定となっております。
このレジ袋の有料化または使用禁止の取り組みは世界各国でも進められております。
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