今回は特許出願数についてのランキングです。
- 基幹技術の主要10分野における 特許出願数を集計
- 国別特許出願数ランキングTOP5(分野別)
- ①「A I」分野ランキング TOP5
- ②「量子コンピューター」分野ランキングTOP5
- ③「再生医療」分野ランキングTOP5
- ④「自動運転・自立走行」分野ランキングTOP5
- ⑤「ブロックチェーン」分野ランキングTOP5
- ⑥「サイバーセキュリティ」分野ランキングTOP5
- ⑦「仮想現実(VR)」分野ランキングTOP5
- ⑧「リチウムイオン電池」分野ランキングTOP5
- ⑨「ドローン」分野ランキングTOP5
- ⑩「導電性高分子」分野ランキングTOP5
- 中国が首位!アメリカが続く
- 2003年当時、日本は6分野で首位だった
- 2003年時の日本の国別ランキング順位
- 企業別では‟BATH”が躍進。技術買収も加速。
- BATHの出願件数合計と順位(15年以降)
- 特許の質ランキング上位10社(各10分野)の国別企業数
- 特許の質ではアメリカが首位、次に日本が続く
基幹技術の主要10分野における 特許出願数を集計
2020年2月12日、日本経済新聞社が知的財産データベースを運営する「アスタミューゼ」の集計データを元に出願人による国別特許出願数の集計結果を発表しました。
今回調査の対象となった10分野は、今後10年の間に様々な産業領域に応用が見込まれる基幹技術を対象としています。例えばAI分野で先行することで自動運転や再生医療の分野でも優位に立つことができるなど、層所効果は大きく、10分野での技術覇権は国の競争力そのものを左右する可能性があります。
まずは今回ランキング発表となりました2017年単年の主要10分野(①AI、②量子コンピューター、③再生医療、④自動運転・自立走行、⑤ブロックチェーン、⑥サイバーセキュリティ、⑦仮想現実(VR)、⑧リチウムイオン電池、⑨ドローン、⑩導電性高分子)における国別特許出願数を以下にお示しします。
国別特許出願数ランキングTOP5(分野別)
(出典:日本経済新聞)
①「A I」分野ランキング TOP5
1位:中国 2位:米国 3位:韓国 4位:日本 5位:ドイツ
AIの分野は長らくアメリカが首位でしたが、15年以降中国の出願数が急増し、17年には首位の座をアメリカから奪取することとなりました。
②「量子コンピューター」分野ランキングTOP5
1位:米国 2位:中国 3位:カナダ 4位:日本 5位:イラン
中国が唯一首位を取れなかったのが量子コンピューターの分野です。日本は2010年まで件数首位でしたが、11年にその座を明け渡しました。アメリカは2010年に対して15倍の件数となり独走状態となっています。
③「再生医療」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:米国 3位:韓国 4位:日本 5位:スイス
長らく首位の座を守っていたアメリカですが、2015年以降中国に追い抜かれる結果になりました。日本も出願件数を伸ばし続けているものの、4位に終わりました。
④「自動運転・自立走行」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:米国 3位:日本 4位:韓国 5位:ドイツ
この分野は現在、日米中3か国がしのぎを削る三つ巴の状況となっています。日本は2008年までは首位でしたが、2010年以降中国が急上昇しています。
⑤「ブロックチェーン」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:米国 3位:韓国 4位:日本 5位:ドイツ
ブロックチェーンは、ビットコインなどの仮想通貨の中核となる「取引データ」技術のことを指します。企業別件数ではアリババ集団が1位となるなど中国企業が非常に力を入れている分野となっています。
⑥「サイバーセキュリティ」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:米国 3位:韓国 4位:日本 5位:イスラエル
この分野も本来アメリカの得意分野であり、2003年の日本以外はアメリカの首位となっていましたが、2011年に米中が逆転し、以降中国の首位が続いております。
⑦「仮想現実(VR)」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:米国 3位:韓国 4位:日本 5位:ドイツ
この分野は2000年以来、日米中韓の4カ国で首位が目まぐるしく変わっていて、四つ巴の競争が続いておりました。しかし、2014年以降は中国の首位が続いており、この分野も今後中国に引き離されていくことが予想されます。
⑧「リチウムイオン電池」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:日本 3位:韓国 4位:米国 5位:ドイツ
昨年の吉野彰さんのノーベル賞受賞で改めてクローズアップされたのも記憶に新しいところです。この分野も長らく日本が先行し首位の座を守っていましたが、2013年以降中国にその座を奪われております。
⑨「ドローン」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:米国 3位:韓国 4位:日本 5位:フランス
元々はアメリカが先行しておりましたが、2009年に初めて中国が首位になって以来、中国のトップが続いています。
⑩「導電性高分子」分野ランキングTOP5
1位:中国 2位:米国 3位:韓国 4位:日本 5位:ドイツ
導電性高分子とは電気を通すプラスチックの総称です。ELが代表的使用例で太陽光パネルなどに応用される夢の汎用技術です。長らく日本のお家芸的技術でしたが、12年に件数ベースで中国に抜かれるなど相対的に低迷しています。
中国が首位!アメリカが続く
2017年国別順位では、件数ベースでは中国が一人勝ちの様相となっています。10分野中9分野で中国が首位となりました。件数において17年単年の合計件数の実に49%を占る状況となっています。続くアメリカは1位が1分野のみにとどまったものの、2位は7分野を占めており、米中2強の状況が改めて浮き彫りになりました。一方で日本は7分野で4位に沈み合計でも全体の11%の件数にとどまりました。そして韓国においては6分野で日本を上回る3位を占めており、特許件数において日本は韓国にも後塵を拝している状況です。
2003年当時、日本は6分野で首位だった
2003年当時において、日本は実に10分野中6分野で首位の座にありました。トップ以外の分野はすべて2位で、当時は特許出願数で世界首位でした。それが2010年になると首位が3分野に減り、2017年には首位の座をすべて米中に明け渡す結果となりました。
2003年時の日本の国別ランキング順位
①AI →2位
②量子コンピューター →1位
③再生医療 →2位
④自動運転・自立走行 →1位
⑤ブロックチェーン →2位
⑥サイバーセキュリティ →1位
⑦仮想現実(VR) →1位
⑧リチウムイオン電池 →1位
⑨ドローン →2位
⑩導電性高分子 →1位
企業別では‟BATH”が躍進。技術買収も加速。
中国躍進の先導役となっているのが、‟BATH”(バイドゥ=(B)、アリババ集団=(A)、テンセント=(T)、ファーウェイ=(H))と呼ばれる中国企業です。今や件数ランキングの上位を占めていて、これらの企業は1990年代から中国経済の改革開放路線と協調し、その存在感を世界で高めてきました。
BATHの出願件数合計と順位(15年以降)
バイドゥ(百度):1760件
アリババ集団:1378件
テンセント(騰訊控股):946件
ファーウェイ(華為技術):1898件
特許出願の量では圧倒している中国ですが、その中身についても分析されています。 以下は特許の質(内容)についてのランキングです。
特許の質ランキング上位10社(各10分野)の国別企業数
1位:アメリカ 64社
2位:日本 18社
3位:韓国 8社
4位:カナダ 3社
5位:フランス 2社
6位:ドイツ 2社
7位:中国 1社
(出所:アスタミューゼ)
特許の質ではアメリカが首位、次に日本が続く
一方で特許の質の分析では、上位にアメリカ企業が名を連ねました。各10分野の上位10社を合計した100社のうち、アメリカ企業が64社を占める結果となりました。次いで日本が18社と続き、素材分野で強さを見せた韓国が8社という結果でした。中国企業についてはドローン分野での1社という結果となりました。
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