今回は中国の省別人口と省別GDPについてご紹介いたします。
- 新型コロナウイルの感染拡大と湖北省、浙江省からの入国拒否
- 湖北省は揚子江中流域に位置、最大都市が武漢市
- 日本とは異なる行政区分
- 中国の省級(省レベル)一覧
- 中国の省級人口ランキング(香港・マカオ除く)
- 中国の省級1人あたりGDPランキング(香港・マカオ除く)2018年データ
新型コロナウイルの感染拡大と湖北省、浙江省からの入国拒否
新型コロナウイルス感染が一向に収まる気配がありません。報道によりますと、この新型ウイルスは中国の湖北省武漢市で2019年12月に発生が確認され、1月に初めてウイルスが確認されました。以来武漢市を中心に中国全土に感染が拡大されていて、2月19日時点で日本をはじめとする世界29の国と地域で感染者が確認されております。
現在、日本政府は湖北省に滞在歴のある外国人の入国拒否に加えて、浙江省からも入国を拒否する措置を実施しています。また中国経済の停滞から、世界経済へのダメージも懸念されています。
今回の一連の報道にて、一躍注目されるエリアとなった武漢市と湖北省ですが、我々日本人にとってはあまりなじみのない省名です。いったいどのあたりに位置していてどの程度の人口規模があるのでしょうか。
湖北省は揚子江中流域に位置、最大都市が武漢市
湖北省のある場所ですが、中国の中部に位置していて、揚子江の中流域に存在します。洞庭湖の北にあるため「湖北」との名称がついたようです。最大都市は武漢市で同省の省都となっています。余談ですが、湖北省は三国時代の荊州に位置する場所だと言えば歴史好きの方ならピントくるのではないでしょうか。
次に中国の省別人口ランキングを見ていきたいと思いますが、その前に中国の行政区分について少し触れさせていただきます。
日本とは異なる行政区分
中国の行政区分は省級、地級、県級、郷級という4層の立て付けになっています。その中で「省級」(例:湖北省など)が最上位にあるのですが、実は省級の中には「省」以外にも北京市など「市」と名の付くものがあったりと少々紛らわしいです。これらは、「直轄市」と呼ばれる省と同格の市が存在するためです。他にも「自治区」や「特別行政区」と呼ばれるものも省級(省レベル)となっています。
中国の省級(省レベル)一覧
省・・中国の行政区分のひとつで、地方行政区画の最上位のもの。
自治区・・元来は少数民族の統治政策であり、現存する5つの自治区はすべて省と同格の行政単位である。
直轄市・・中国における最高位の都市であり、省と同格。現在、北京市、上海市、重慶市、天津市の4市がある。
特別行政区・・香港、マカオなど元の宗主国から返還された自治領で、国際的な統計では中国本土とは分けられることが多い。(今回も外しております)
中国の省級人口ランキング(香港・マカオ除く)
1位:広東省 1億400万人
2位:山東省 9,579万人
3位:河南省 9,402万人
4位:四川省 8,041万人
5位:江蘇省 7,865万人
6位:河北省 7,185万人
7位:湖南省 6,568万人
8位:安徽省 5,950万人
9位:湖北省 5,723万人
10位:浙江省 5,442万人
11位:広西チワン族自治区 4,602万人
12位:雲南省 4,596万人
13位:江西省 4,456万人
14位:遼寧省 4,374万人
15位:黒竜江省 3,831万人
16位:陝西省 3,732万人
17位:福建省 3,689万人
18位:山西省 3,571万人
19位:貴州省 3,474万人
20位:重慶市 2,884万人
21位:吉林市 2,746万人
22位:甘粛省 2,557万人
23位:内モンゴル自治区 2,470万人
24位:上海市 2,301万人
25位:新疆ウイグル自治区 2,181万人
26位:北京市 1,961万人
27位:天津市 1,293万人
28位:海南省 867万人
29位:青海省 630万人
30位:寧夏回族自治区 617万人
31位:チベット自治区 300万人
(参考:ウィキペディア「中国行政区分の人口一覧」より)
トップは広東省の1億人超え、湖北省は第9位
さすがに14億人の人口を誇る中国です。一つ一つの省が国家規模の人口を有していて、その中で人口トップの省が広東省となります。人口は実に1億800万人と日本とさほど変わらない人口を有しているにも関わらず、面積は日本の約半分となっています。
また2005年から2015年までの人口増加率においても中国首位の18%となっています。そして、GDPにおいても首位となる7兆2,813億元(2015年)であり、工場建設の急増を背景に経済発展が進んでいる地域となっています。
そして気になる武漢市のある湖北省は第9位の5700万人です。先進国の人口と比較した場合、イタリアの人口(5900万人)が最も近い規模となります。
次にGDPを人口で割った1人あたりのGDPランキングをみていきたいと思います。
中国の省級1人あたりGDPランキング(香港・マカオ除く)2018年データ
1位:北京市 14万211元
2位:上海市 13万4982元
3位:天津市 12万711元
4位:江蘇省 11万5168元
5位:浙江省 9万8643元
6位:福建省 9万1197元
7位:広東省 8万6412元
8位:山東省 7万6267元
9位:内モンゴル自治区 6万8302元
10位:湖北省 6万6616元
11位:重慶市 6万5933元
12位:陝西省 6万3477元
13位:遼寧省 5万8008元
14位:吉林市 5万5611元
15位:寧夏回族自治区 5万4094元
16位:湖南省 5万2949元
17位:海南省 5万1955元
18位:河南省 5万152元
19位:新疆ウイグル自治区 4万9475元
20位:四川省 4万8883元
21位:河北省 4万7772元
22位:安徽省 4万7712元
23位:青海省 4万7689元
24位:江西省 4万7434元
25位:山西省 4万5328元
26位:チベット自治区 4万3397元
27位:黒竜江省 4万3274元
28位:広西チワン族自治区 4万1489元
29位:貴州省 4万1244元
30位:雲南省 3万7136元
31位:甘粛省 3万1336元
(参考:「今がわかる時代がわかる世界地図」より)
トップは北京市、沿岸部がランキング上位に
1人あたりGDPランキングでは、北京市、上海市、天津市の大都市が1位~3位までを独占いたしました。首位の北京市の1人あたりGDPはおよそ14万元と高く、また上位2位~8位まではいずれも沿岸部になっています。逆に内陸部は3万~5万元ほどの省がほとんどとなっていて沿岸部との差は歴然です。ちなみに中国全体の1人あたりGDPは世界第72位の水準です。
中国の経済格差問題
中国では都市部と農村部の所得格差が大きな問題になっています。首位の北京市と最下位の甘粛省では1人あたりGDPで4倍近くの開きがあります。
これは農業中心の内陸部に対して、 沿岸部は南東を中心に中国政府の「改革・開放政策」により「経済特区」や「経済技術開発区」が設けられ税制優遇を行った結果、外国企業の投資が集中し都市化され、大きく経済発展していきました。
一方、内陸部の農村地帯では都市部のように豊かになることは難しく、その結果、農村から多くの人口が労働者として沿岸部に流出するようになりました。そしてその出稼ぎ労働者を低賃金で雇うことで、中国は「世界の工場」として大きく経済成長してきました。
しかし、農村部には高齢者や子供ばかりが取り残され、沿岸部と内陸部の格差は更に大きくなってきています。
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