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不織布マスク輸出ランキングと国内マスクの輸入比率

今回は世界的に不足しているマスク事情についての記事です。

 

マスク

画像:不織布マスク 

解消されない日本のマスク不足

新型コロナの感染が続く中、マスク不足が大きな問題になっています。
政府は、国内メーカーに対しマスク増産を要請したほか、マスク製造設備を新たに導入する場合の補助金制度を設けました。
それにより、
国内の製造量が増え、中国からの輸入再開も相まって3月の供給量は約6億枚となりました。

しかし、それでもマスク不足は解消されておりません。
因みに例年のマスク需要のピークは花粉症シーズンとなる3月で、その数量は5.5億枚程度です
政府は国内供給量として、1億枚の積み上げを行い、4月は7億枚の見込みと発表しました。
しかしながら、厚生労働省の担当者の話では、医療機関や高齢者向け施設、公共交通機関への優先的に割り当てる先があるため、やはり店頭に回る分は限られてしまうとのことです。

 

日本で流通するマスクの約8割は輸入品

現在、国内に流通するマスクの約8割は海外からの輸入品となっています(表1)。
そしてそのほとんどは中国からの輸入という状況です(表2)。

マスクの国内生産量と輸入比率、日本の不織布(ふしょくふ)マスク等繊維製品の輸入元の国別比率が以下の通りです。

 

表1:

マスクの年間国内生産数量と輸入比率

国内生産 輸入数量 輸入比率
2014  5億81百万枚  33億69百万枚  85.3%
2015   9億68百万枚  39億25百万枚 80.2%
2016  10億29百万枚   38億82百万枚 79.0%
2017  9億44百万枚  43億55百万枚 82.2%
2018  11億11百万枚   44億27百万枚 79.9%

(出所:一般社団法人日本衛生材料工業連合会Websiteより)

 

表2:

日本の不織布マスク等繊維製品の輸入状況(2019年)(注)

輸入元 輸入額 シェア
中国 1039億円 77.00%
ベトナム 99億円 7.30%
韓国 37億円 2.80%
アメリカ 37億円 2.70%
台湾 37億円 2.70%
インドネシア 22億円 1.60%
カンボジア 15億円 1.10%
タイ 13億円 1.00%
メキシコ 7億円 0.50%
フィリピン 6億円 0.50%

(出所:独立行政法人経済産業研究所Websiteデータを基に作成) 

(注)不織布マスクのみのデータがないため、不織布マスク含む繊維製品のデータとなります

 

上記に示したように、日本のマスクの輸入元は圧倒的に中国となっています。

次に世界の国別輸出シェアについて見ていきたいと思います。

以下に世界における不織布マスク等繊維製品の輸出シェアをランキングにてご紹介いたします。

 不織布(ふしょくふ)マスク等繊維製品の輸出シェアランキング(2018年)

順位 国・地域名 輸出シェア
1 中国 43.0%
2 ドイツ 7.2%
3 アメリカ 5.7%
4 ベトナム 4.6%
5 メキシコ 4.4%
6 インド 4.0%
7 オランダ 2.6%
8 モロッコ 1.9%
9 ポーランド 1.9%
10 フランス 1.9%
11 イギリス 1.5%
12 ルーマニア 1.4%
13 香港 1.4%
14 ベルギー 1.2%
15 カナダ 1.2%
16 台湾 1.1%
17 日本 1.0%
18 トルコ 0.9%
19 韓国 0.9%
20 イタリア 0.9%

(出所:独立行政法人経済産業研究所Websiteのデータを基に作成) 

(注)不織布マスクのみのデータがないため、不織布マスク含む繊維製品のデータとなります

 

マスク市場でも存在感の大きい中国

2018年の世界の輸出額は119.4億ドルですが、最大輸出国は中国世界シェアの4割を占めています。続いてドイツ、アメリカとなっています。日本の輸出シェアはわずか1%に過ぎない状況です。(マスク以外の繊維品も含む)

そして、世界でマスク不足が続くなか、中国はマスクの生産を急増させ、3月1日~4月4日までの1か月強で38億6千枚の輸出を行いました。
この数量はこれまでの10倍にあたり、国家主導で早急な増産体制を確保しております。

これにより、日本においても、国内の増産体制に加え中国からも輸入増が期待できることから、今後徐々にマスク不足が解消されていく期待は持てます。

また、ドイツなど国内需要の高まりからマスクの輸出制限を行う国が出てきている一方で、国内が一段落してきた中国は、マスクなどの提供を通じて、新型コロナの「発生国」という負のイメージから「支援国」へとイメージ一新も図るという政治的な狙いも見えます。

 

マスクに効果はあるのか?

マスク着用によるウイルス感染の予防効果について、現在のところ確実なエビデンスは存在しないようです。

しかしながら、飛沫拡散への防止効果については、くしゃみによる液滴の飛散を分析しレポートがあります。

新型コロナウイルスの粒子径はインフルエンザウイルスなどとほぼ同じサイズの0.1マイクロメートルとなります。(表3)

一般的な不織布製マスクの穴は5マイクロメートルとなっていて、飛沫の定義は5マイクロメートル以上となっています。5マイクロメートル未満は飛沫核と呼称。

ウイルスが人体から拡散される際は、液滴によって運ばれるため、マスク着用で液滴の拡散がどの程度防げるかがポイントになりそうです。

表3

ウイルスの大きさ

(THE SANKEI NEWS 「新型コロナQ&A(1)」より) 

 

マスクで飛沫拡散が抑えられるか解析

先ほども触れましたが、くしゃみをした際に液滴がどのように飛散するかを分析したレポートの内容についてご紹介します。

MSC Softwareグループ傘下のソフトウェアクレイドルは、同社のソフトウェアを用いて、くしゃみによる微粒子の飛距離が、防護なし、肘の内側による防護、マスクの着用でどのように変化するのかを解析しました。
尚、使用するマスクは厚さ1mmの不織布製の市販マスクを想定しています。

 マスクを着用した際の液滴の飛散を分析した画像が以下のイラストです。

マスクの着用効果をCFDで解析、くしゃみをした際に液滴はどう飛散するか? - MONOist(モノイスト)

マスク着用時の液滴飛散の解析

 (引用:MONOistより)

 

上記の解析の結果、くしゃみによる液滴は鼻とあごの周りの隙間から上下方向に吹き出すが、前方に向かって運ばれる液滴は少なく液滴のほとんどがくしゃみをした本人の周囲に漂うことが分かったということです。
そしてレポートの結論としては、「
少なくともマスクを着用することで、くしゃみに伴う液滴の飛散距離が大きく抑えられることが確認できた」結ばれています。

 

まとめ

世界的なマスク需要の増大で、現在もマスク不足は続いております。

マスクにはくしゃみによる液滴の拡散抑制が期待できることから、外出時の着用は必須と考えられます。

現状、医学的なマスクの効果は結論が得られていません。しかし、マスク着用の文化が無い欧米でコロナ感染が爆発的に広がったことを、留意する必要はあると思います。

現状、日本のマスク生産は、その8割ほどを輸入に頼っている状況であり、急激な需要増大の際には、必要量の即時確保が極めて難しくなることが浮き彫りになりました。

今回の教訓から、パンデミックや災害時に備えて、国には平時からのマスク備蓄量を大幅に増やしていく対策をして頂きたいです。

さらにマスクを始めとした医療資源については、中国から輸入が止まるなどのリスク対策のためにも、国内生産の比率を更に引き上げる必要がありそうです。

 

 


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