Shoko-Ranking

ランキングを中心に経済・産業・社会・時事などの情報をまとめています

子供の貧困率ランキング~相対的貧困とシングルマザーの就労~

今回は日本の子供の相対的貧困率は先進国の中でもかなり高いという話です。

タイガーマスク運動

2010年12月25日、群馬県のある児童相談所に伊達直人(タイガーマスク主人公の名前)と名乗る男性から10個ものランドセルが届けられました。

そのニュースが知れ渡ると、その後各地の児童施設に支援物資が届けられるようになり、その広がりはいつしか「タイガーマスク運動」と呼ばれるようになりました。

タイガーマスク運動は更に発展していき、2017年より群馬県前橋市は、ふるさと納税「タイガーマスク運動支援プロジェクト」として施設入所者の独立支援を始めました。

現在同様の制度は各地に広がっています。

 

発端となった男性はその後本名を明かし、自身も子供の頃ランドセルが買えず手提げ袋で通っていたこと、漫画「タイガーマスク」の主人公に感銘を受け寄付に至ったことなどその経緯を語りました。 

 

 

ランドセル



日本の貧困問題

SDGs(持続可能な開発目標)の第1の目標は「貧困をなくそう」です。

しかし、多くの日本人にとってはどこか他の国の問題ととらえてしまいがちなテーマです。実際に私もそのように考えていました。

この目標ですが、より正式には

「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」となっています。

 

この目標が意味するところは、貧困問題は途上国だけの問題ではなく、先進国の中にも存在する問題として提起していることです。

 

貧困は2つの種類に分類されます。

「絶対的貧困」「相対的貧困」です

絶対的貧困

国や地域の生活レベルとは無関係に、生きるうえで必要最低限の生活水準が満たされていない状態

(具体的には)→1日1.9ドル未満で生活する極度の貧困(国際貧困ライン) 

相対的貧困

その国や地域の水準の中で比較して、大多数よりも貧しい状態

(具体的には)→ 国民の年間所得の中央値の50%に満たない所得水準

 中央値は平均ではなく全体の真ん中の値となります。

100人の国で例えると、平均所得は大富豪1人の存在で大きくはね上がります。

しかし所得の中央値は100人を上から並べた時の真ん中(50~51番目)なので1人の所得の大小に引っ張られません。

 

日本において絶対的貧困状態の人、すなわち人間として最低限の生活が送れない人は非常にまれだと思います。

一方で相対的貧困状態にある人、つまり年間所得が真ん中の水準の半分以下の人の割合は、他の国々よりむしろ高いことがわかっています。

 

相対的貧困率はOECD加盟国で9番目  

OECDの発表では日本の相対的貧困率はOECD加盟36カ国中9番目に高い国となっています。

ですが、そのように実感している人は非常に少ないと思います。

その理由は、日本をはじめ先進国では相対的貧困状態にある人もそうでない人も一見するとほとんど生活様式が変わらないように見えるからです。

よって我々にとって身近な問題として実感することが難しくなっています。 

 

SDGsの目標10番目には

「各国内および各国間の不平等を是正する」

を掲げ、国内の相対的貧困層の減少を訴えています。

相対的貧困層が多いということは、国民の格差が大きいということを意味しています。

なので相対的貧困を解決するということは格差を縮めるということにもつながります。 

 

そね中でも、特に考慮しなければならないのは子供の貧困です。 

 

子供の貧困とは(厚労省定義) 17歳以下の子供のうち、一定基準(貧困ライン)を下回る手取りの所得の家庭で育つ子供

【貧困ライン】・・2人家族で172万円、3人家族で211万円

 

次に世界の子供の相対的貧困率ランキングを見てきたいと思います。

 

子供の貧困率ランキング(相対的貧困)

順位 国名 貧困率
1位 南アフリカ 32.0%
2位 コスタリカ 27.3%
3位 トルコ 25.3%
4位 イスラエル 23.7%
5位 スペイン 22.0%
6位 チリ 21.1%
7位 アメリカ 20.9%
8位 メキシコ 19.8%
9位 リトアニア 17.7%
10位 ギリシャ 17.6%
16位 日本 13.9%

(出典:落合陽一「2030年の世界地図帳」)

 

日本の子供の相対的貧困率はOECDで16番目の高さです

先進国ではアメリカの貧困率が(20.9%)相当に高いのですが、日本の子供の貧困率(13.9%)も実はかなり高い部類に入ります。

貧困率13.9%とは、日本の子供の7人に1人は貧困状態ということになります。

 

相対的貧困は絶対的貧困よりもまだマシと思われがちですが、実はそうとも言えません。

 

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(https://cfc.or.jp/)のコラムに以下のようなエピソードがありました。

途上国の孤児院を支援するNGOに勤務している知人は、日本の児童養護施設を訪ねた際、『同じ養護施設でも、日本の子ども達の方が精神的な落ち込みが大きい』という感想を持ったそうです。

もちろん途上国の絶対的貧困状態はとても辛い状態です。私たち日本人には想像すらできないかもしれません。

しかしながら、「周りの人にとっては当たり前の生活が、自分だけ得ることができない」という相対的貧困状態は、子どもたちに強烈なダメージを与えています。

もはやこれらはくらべられる問題ではないかもしれません ~チャンスフォーチルドレンのWebsiteより引用~

このように時には「絶対的貧困」と同じくらいの精神的ダメージを与えています。

 

また子供の貧困は学習機会の損失につながり、学力格差も生みます。

 

教育格差・負のサイクル

  (画像引用:チャンス・フォー・チルドレン「子どもの貧困と教育格差」)

 

このようなサイクルによって、最終的には教育格差から経済格差につながることが指摘されています。

そして世代を連続する貧困の固定化=「階級化」は社会を分断する大きな要因になり、最も危惧されるところです。

 

子供の貧困の原因、シングルマザーの就労問題

冒頭では、児童相談所や養護施設などの施設の子供への支援運動について触れましたが、実は子供の貧困で最もすそ野が広いのはひとり親世帯です。

具体的には貧困状態にいる子供の約半数はひとり親世帯であることがわかっています。

 

日本においてひとり親世帯はおよそ140万世帯です。そのうち母子家庭が86.8%を占めています。 

母子家庭・父子家庭の実情

- 母子家庭 父子家庭
世帯数 123.2万世帯 18.7万世帯
1人親になった理由 離婚79.5% 離婚75.6%
死別8.0% 死別19%
就業状況 81.8% 85.4%
うち正規職員・従業員 44.2% 68.2%
うち自営業 3.4% 18.2%
うちパート・アルバイト等 43.8%

6.4%

平均年間収入(自身の収入) 243万円 420万円
平均年間就労収入(自身の就労収入) 200万円 398万円
平均年間収入(同居家族を含む世帯全員の収入) 348万円 573万円

(平成27年国勢調査より)

 

この表で見た時に、父子家庭(シングルファーザー)と母子家庭(シングルマザー)では収入面に大きな差があることがわかります。

さらにシングルマザーにおける就業状態では43%がパート・アルバイトの就労となっています。

ちなみに就業しているシングルマザーの貧困率の高さは先進国でダントツ1位と言われています。シングルマザーの多くがワーキングプア(働いているのに貧困)になっているということになります。

では、正社員に就業すれば母子世帯の貧困問題は解決するのかというと、そうならないようです。

その理由は、そもそも正社員を望まない女性が多いからです。

このように書いていくと、貧困の大きな原因は離婚であり、当人の問題ではないのかという意見も出てきます。

確かにそうかもしれませんが、ただ離婚はともかく正社員を望まないのは当事者の問題とは言い切れない状況があります。

そして大事なことは子供が貧困におちいっている事実です。親の事情は子供にはどうすることもできません。

 

母子のシルエット

日本型会社制度と働く女性とのアンマッチ

もともと日本の会社の正社員制度は、専業主婦の妻を持つ男性をモデルに作られており、既婚未婚に限らず子育て中の女性にとっては働きにくい環境です。

正社員は雇用保障、企業内福利厚生、安定した収入等のメリットをうける反面、慢性的な長時間労働、頻繁な配置転換、転勤などのデメリットが伴います。

またシングルマザーの「正社員」は中途採用となった時、学歴にも左右され多くは収入が低く、労働時間が長い割には決して割のよい仕事ではないことも知られています。


JILPT(独区立行政法人労働政策研究・研修機構)の調査によると、シングルマザーで今後3~5年の間に正社員就業を希望している人は、2〜3割に過ぎません

正社員として既に働いている人を加えたとしても、正社員希望者の割合は、全体の半数にも満たないのが現状です。

いくら正社員就業の支援政策を打ち出しても、正社員を希望する人が少なければ、結果は空振りに終わってしまう可能性は高いといえます。 

 

子供の貧困の最大要因とも言えるひとり親の貧困は、日本の労働システムとのマッチングの悪さが大きく影響しているということになります。

 

日本の労働時間の長さは近年改善傾向にはありますが、まだまだ時間当たりの労働生産性は他の先進諸国と比べて低いままです。

日本の労働者の賃金水準は20年間ほぼ上昇しておらず、平均年収も同様です。

 

今回のコロナ禍によって、企業を中心に働き方の見直しが一段階進みそうな気配もあります。

たとえば、全員が同じ時間に出社するのではなく、正社員であっても出社時間のフレキシブルな勤務体系がもっと一般的になってくれば、子供を持つ女性にとっても望ましい変化ではないでしょうか。

 

子供の貧困に対する打ち手が足りない

現在の日本の労働システムは子育て中の女性、さらにはシングルマザーや子供の貧困問題ともつながっていることがわかりました。

そして子供の貧困ラインを下回っているということは、月あたり14万円以下(2人家族で年間手取り収入172万)で生活していることになります。

地域差もあると思いますが、この状況では子供に全くお金がまわせません。高等教育への進学もあきらめなけばならないケースも少なくないと思われます。

OECDの発表によると、GDPに占める教育機関への公的支援の割合は、日本がワースト2位になっているとのことです。

貧困世帯への、国からの支援を増やしていくことが求められます。

 

タイガーマスク運動から広がる輪!子供支援事業とふるさと納税

 

まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. 貧困問題は日本にもあり、多くは相対的貧困
  2. 日本の相対的貧困率はOECDで9番目に高い。
  3. 子供の貧困率ランキングは日本が16位。7人に1人の割合。
  4. 子供の貧困世帯の半分は1人親。さらにその大半はシングルマザー
  5. シングルザーの貧困問題は、日本型会社制度とのアンマッチによる
  6. 子供の貧困に対して国の対策が急務

☑最新記事一覧はこちら👈から

 

<関連記事>

www.shoko-ranking.com

www.shoko-ranking.com

www.shoko-ranking.com