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人口あたり病床数ランキング(最新版)〜日本が世界トップ〜

新型コロナの感染再拡大によって、再び病床がひっ迫との報道がされています。

1月15日に厚生労働省は、感染症法の改正案を専門家で構成される部会に示し、了承されました。

これは新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れる病床を確保するために、医療機関への「協力要請」をより強い「勧告」に強めるものです。

 

この背景には、新型コロナウイルスの感染が拡大しているにも関わらず、病床が思うように確保出来ていない現実が背景にあります。

そこで今回は世界各国の人口あたり病床数ランキングをご紹介いたします。

 

実は、以前にも人口あたりの病床数ランキングの記事を上げておりましたが、今回改めて最新のデータから人口当たり病床数をランキング化しております。

人口あたり病床数ランキング(G7、都道府県別) - Shoko-Ranking

 

 

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OECDが集計している最新のデータでは2019年時点の世界42カ国の人口あたり病床数を算出しています。(国によって2019年以前のものもあり)

まずは、世界の国の人口当たり病床数の最新ランキングです。

人口当たり病床数ランキング(人口千人当たり)

順位 国名 人口千人当たり病床数
1 日本 12.98
2 韓国 12.43
3 ドイツ 8.0
4 オーストリア 7.27
5 ロシア 7.12
6 ハンガリー 7.01
7 チェコ共和国 6.62
8 ポーランド 6.54
9 リトアニア 6.43
10 フランス 5.91
11 スロバキア共和国 5.7
12 ベルギー 5.58
13 ラトビア 5.49
14 スイス 4.63
15 エストニア 4.57
16 スロベニア 4.43
17 中国 4.31
18 ルクセンブルク 4.26
19 ギリシャ 4.2
20 オーストラリア 3.84
21 フィンランド 3.61
22 ノルウェイ 3.53
23 ポルトガル 3.45
24 オランダ 3.17
25 イタリア 3.14
26 イスラエル 2.98
27 アイルランド 2.97
28 スペイン 2.97
29 アメリカ 2.87
30 トルコ 2.85
31 アイスランド 2.83
32 デンマーク 2.6
33 ニュージーランド 2.57
34 カナダ 2.52
35 イギリス 2.46
36 スウェーデン 2.14
37 チリ 2.06
38 コロンビア 1.71
39 コスタリカ 1.1
40 インドネシア 1.04
41 メキシコ 0.98
42 インドネシア 0.53

(出典:Health equipment - Hospital beds - OECD Data )2016年~2019年データ

 

上記結果を主要7か国(G7)に限って比較したのが以下の表です。

G7(主要7か国)の人口当たり病床数比較(人口千人当たり)

国名 千人あたり病床数
日本 12.98
ドイツ 8.0
フランス 5.91
イタリア 3.14
アメリカ 2.87
カナダ 2.52
イギリス 2.46

 

このように比べると日本の病床数が突出して多いことが改めて確認できます。

実はこれは今に始まったことではなく、さかのぼること30年前、1990年の時点ですでに日本の病床数は世界でダントツの1位でした。

そしてこの30年間、他国に比べて多すぎると言われてきたベッド数を減らそうと、病床数の削減に取り組んだ結果、一定数の削減に成功しておりました。

しかしながら、諸外国においても膨れ上がる医療費増大の対策から、ベッド数削減を進めており、結果的として他の先進諸国との差は変わっていないという状況でした。

しかし、コロナ禍に見舞われた今では、むしろ性急に減らさなくてよかったという声も大きくなってきているのも事実です。

 

そこで気になるのが、このコロナ第三波によって再び医療崩壊の懸念が叫ばれている点です。なぜ病床数は足りていないのでしょうか?

 

そこで病床数の比較について、一般病床(急性期病床)について各国と比較してみました。

 

日本の医療法における病床の種類

日本には現在約162万床の病床があります。病床はその役割によって、5つに分類されています。

  1. 精神病床・・精神疾患を有する者が入院
  2. 感染症病床・・一類感染症、二類感染症(結核除く)及び新型インフルエンザ等感染症または新感染症の患者が入院
  3. 結核病床・・結核の患者が入院
  4. 療養病床・・主に長期療養を必要とする患者が入院。医療療養病床と介護療養病床に区分される
  5. 一般病床・・1~4以外の患者が入院、主に急性期の病床

 

各分類ごとの病床数

分類 病床数
精神病床 32万6666床
感染症病床 1888床
結核病床 4370床
療養病床 30万8444床
一般病床 88万7847床

2類相当以上の感染症を受け入れるための感染症病床は全国で1888床しかありません。(新型コロナは指定感染症・2類相当以上)

よって2020年2月には厚生労働省より、一般病床でも新型コロナの感染患者を受け入れ可能とする事務連絡を発出しておりました。

 

なお一般病床とは、主には急性期の患者が対象の急性期病床ということになります。

 急性期病床・・急患や重症などで命に関わる治療や応急措置、手術を行うための病床。

 

そこで次にOECDが集計している各国の人口千人当たり急性期病床のランキングです。

 

各国の急性期病床数ランキング(人口千人あたり)

順位 国名 急性期ベッド数
1 日本 7.78
2 韓国 7.08
3 ドイツ 6.02
4 オーストリア 5.35
5 リトアニア 5.3
6 ベルギー 5.01
7 スロバキア共和国 4.81
8 ポーランド 4.73
9 ハンガリー 4.27
10 スロベニア 4.13
11 チェコ共和国 4.08
12 ギリシャ 3.63
13 スイス 3.61
14 エストニア 3.36
15 ルクセンブルク 3.29
16 ポルトガル 3.29
17 ラトビア 3.22
18 ノルウェイ 3.13
19 フランス 3.04
20 フィンランド 2.84
21 トルコ 2.81
22 アイルランド 2.79
23 オランダ 2.69
24 イタリア 2.59
25 ニュージーランド 2.55
26 スペイン 2.5
27 デンマーク 2.49
28 アメリカ 2.49
29 アイスランド 2.3
30 イスラエル 2.18
31 カナダ 1.97
32 スウェーデン 1.97
33 チリ 1.95

 (出典:Health equipment - Hospital beds - OECD Data

 

さらに主要国(G7)に絞って比較したものが下の表になります。(尚、イギリスはデータなし)

 

主要国の人口当たり急性期病床数(人口千人当たり)

国名  人口千人当たり急性期病床数
日本 7.78
ドイツ 6.02
フランス 3.04
イタリア 2.59
アメリカ 2.49
カナダ 1.97

*イギリスはデータなし元のデータが古いものであったため、今回改めて最新のデータから人口当たり病床数をランキング化しております。

 

ドイツとの差はかなり少なくなっていますが、急性期病床数(一般病床数)についても、日本の病床数は非常に多いということが明らかになっています。

ということは、医療ひっ迫の要因はこの急性期病床がコロナ対応に活用できないということなのでしょうか?

 

受け入れ医療機関の偏在

2021年1月現在、新型コロナウイルスの感染者数は、米国で2300万人を超え、英国320万人、フランス、イタリアも200万人を超えています。

一方で日本は増えているとはいえ、30万人と明らかに欧米諸国より少ない状況です。

しかし、病床ひっ迫が叫ばれているのはなぜなのでしょうか。

 

厚生労働省の調査では、公立病院や公的病院(日本赤十字病院など)の7割が新型コロナウイルスの患者を受け入れているのに対し、民間病院では2割にとどまっています。

 

特に日本は民間病院の割合が多いことが特徴となっています。日本の医療機関のうち7割は民間病院が占めていて、なおかつその大半は200床未満の中小病院が多く、マンパワーの不足などから大病院のように受け入れ態勢を整えにくいという側面があります。

 

また、日本の入院期間は他国に比べて長く、平時でも病床稼働率が高く空きが少ない点、またコロナ患者を受け入れた場合に院内クラスターを防ぐために同一フロアを空ける必要がある点、そして既存の入院患者を何処に送るのかなど、簡単に手を挙げにくいことが理由としてあげられています。

 

実際に大阪府の吉村知事が民間病院200施設にコロナ患者受け入れを打診したところ、了承を得られたのは10病院30床のみだったようです。

よって今後、政府は感染症法の改正等によって受け入れにある種強制力を持たせ、より多くの病院にコロナ患者を受け入れてもらいたい考えです。 

そのためには、療養型病床に候補支援を担ってもらう、またはコロナ専門病床を作って集約させるなど、各地域で役割を決めて連携する流れを作ることが非常に重要になってくると思われます。

 

重症患者受け入れのICU等病床数 

最後にコロナ重症患者の治療体制に必要な人工呼吸器やECMOを必要とするICU(集中治療室)病床数についてはどうなっているのか調べてみました。

厚生労働省が発表した資料に各国の比較が記載されています。

ただし、注釈には諸外国の病床数のデータには、ICUと一般病棟に至るまでの間の治療を行うための病床を含めて計算が行われているため、日本でもICUに準じた機能を持つ病床としてハイケアユニット(HCU)、そして救命救急病床(ER)を含めた病床数をユニットとして計算しおてます。

 

以下にICU(集中治療室)にハイケアユニット(HCU)、そして救命救急病床(ER)を含めた病床数を人口10万人あたりで割った病床数の比較です。

 

(参考) 人口10万人当たりのICU等病床数

国名 人口あたり病床数
アメリカ 34.7*
ドイツ 29.2
日本(ユニット) 13.5
イタリア 12.5
フランス 11.6
スペイン 9.7
イギリス 6.6
日本(ICU) 4.3

 (出典:厚生労働省医政「ICU等の病床に関する国際比較について」)

*アメリカの人口分母は全年齢ではなく20歳以上

 

結果としてはアメリカの10万人あたり34.7床が突出しているように見えますが、 データもとによるとアメリカの人口分母は20歳以上となっているため、実際の人口当たり病床数はもっと少ないと考えられます。

日本の13.5床はドイツ29.2床に比べると半分以下で、イタリア、フランスと同じ程度ということのようです。

 

 

まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. 人口当たり病床数で日本は断トツの世界1位
  2. 急性期病床数においても人口あたり世界1位
  3. 病床数ひっ迫の理由は民間病院の割合の多さにも一因
  4. ICU等病床数は、アメリカ、ドイツが多い。日本はイタリア、フランスと同程度

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