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再生可能エネルギー比率ランキング~今後のエネルギーの本命は?~

CO2排出削減が世界的に叫ばれている中、エネルギー問題は現代において最重要課題であると言えます。

COP21パリ協定のCo2などの温室効果ガス削減目標にも直結しており、またSDGsの目標7にも「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とある通り、化石燃量に替わるクリーンエネルギーの推進は日本も積極的に取り組んでいかなければならない状況です。

 

 

そこで今回は再生可能エネルギーについて調べてみました。

 

洋上風力発電

再生エネルギーとは”太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギー”のことです。

 

その大きな特徴は、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」の3点です。

 

日本においては(1)太陽光、(2)風力、(3)水力、(4)地熱、(5)太陽熱、(6)大気中の熱その他の自然界に存在する熱、(7)バイオマス(動植物に由来する有機物)の7種類が指定されています。

 

まずは主要国における発電量のうち、再生エネルギー(再エネ)がどのくらいの割合を占めているかランキングで確認したいと思います。

主要国の発電に占める再エネ比率ランキング(2017年実績)

順位 国名 再エネ比率
1 カナダ 65.7%
2 イタリア 35.6%
3 ドイツ 33.6%
4 スペイン 32.4%
5 イギリス 29.7%
6 中国 24.9%
7 アメリカ 17.0%
8 フランス 16.5%
9 日本 16.0%

(出典:資源エネルギー庁調べ)

 

再エネ比率1位はカナダで65.7%。

少し古いデータですが2017年実績ではカナダがトップで再エネ率=65.7%と非常に高い状況となっています。

カナダの場合は水力発電の比率が極めて高いのが特徴で、全エネルギーのおよそ6割が水力発電でまかなわれています。

一方、日本は16.0%で9位(2017年実績)と他の主要国と比べて低い水準となっています。

再エネ比率が低いいということは火力エネルギー(石油、石炭、天然ガス)および原子力の比率が相対的に高いということになります。 

以下は国内の最新実績の 内訳です。

 

 日本の発電エネルギー比率内訳(2019年度)

- 電源種別 2019年度 (2017年度)
1 LNG(天然ガス) 35.1%↘ (38.6%)
2 石炭 28.2%↘ (29.0%)
3 石油など 11.5%↘ (12.7%)
4 水力 7.7%↘ (7.9%)
5 太陽光 7.6%↗ (5.8%)
6 原子力 6.0%↗ (3.0%)
7 バイオマス 2.8%↗ (2.1%)
8 風力 0.8%↗ (0.6%)
9 地熱 0.2%→ (0.2%)

(出所:資源エネルギー庁「電力調査統計」などからISEPが作成)

緑は再生可能エネルギー、赤は火力エネルギー

 

日本の再エネ比率は19.1%

国内のエネルギー供給源内訳としては、火力エネルギーが74.8%、原子力エネルギーが6.0%、再生可能エネルギー割合は19.1%となっています。

しかしながらエネルギー基本計画における日本の再エネ目標は22〜24%としているので、今後より一層推進が必要な状況です。

 

日本の再エネ比率は水力と太陽光の割合が高く、風力が少ないことが特徴です。

実は海外では水力発電を除けば太陽光発電よりむしろ風力発電の割合が高い状況となっています。

現在世界における新規再エネ設備としては太陽光発電と風力発電の2つが中心となっています。

 

 

 

再エネの主力「風力発電」について

まずは風力発電の国別ランキングです。

世界の風力発電量設備ランキング(2019年実績)

順位 国名
1 中国
2 アメリカ
3 ドイツ
4 インド
5 スペイン

(出典:GWEC)Global Wind Report 2019 | Global Wind Energy Council

 

上記5か国は風力発電設備が非常に大きく、中国、アメリカ、ドイツ、インド、スペインの5か国で世界の風力発電設備全体の72%を占めております。 

 

一方日本は国土の特徴も関係し、風力発電の新規設置はあまり進んでおりません。

風力発電設置には広い土地を必要としますが、日本は国土が狭い上、離島や山岳地など急傾斜の地形が多く、また台風や強風、落雷などが多いことから陸上での風力発電機の設置場所は限定されています。

 

100万kW規模の発電所を設置するのに必要な土地の面積は

発電に必要な土地の面積

原子力発電所=0.6k㎡ 

太陽光発電所=58k㎡  (山手線一杯の面積)

風力発電所    =214k㎡(山手線の3.4倍の面積)

 

日本でも注目される洋上水力発電 

そこで注目されているのが洋上での水力発電設置(オフショア水力発電)です。

日本と同様に国土が狭く陸上での設置場所に限りがあるイギリスでは、1996年から洋上設置に積極的に取り組んでいます。

洋上での設置のメリットとしては、洋上は陸上よりも風力が強いため大きな電力を得られることにあります。

これまで洋上水力発電は主に北欧諸国が中心に建設を進めてきましたが、2008年にイギリスがデンマークを抜き世界一位となりました。そして今では洋上水力発電のトップランナーになっています。

その後も洋上水力発電の設置が進み、2019年には新規風力発電設置数で中国、アメリカについで世界3位の設置数になっています。

 

一方、日本国内においては、2019年4月に洋上風力発電普及法が制定されました。

まずは全国に先駆けて優先的に整備を進める4区域を決定しております。 

イギリスと同じく島国で四方を海に囲まれた日本は、洋上水力発電の大きなポテンシャルを秘めていると考えられています。

しかしながら、海岸線に水深50m未満の場所が多いイギリスと比べ、日本の海岸は50m未満の場所が少なく、イギリスのような着床式の設置場所は限られています。

 

そこで日本で研究が進められているのが、浮体式洋上風力発電です。

すでに国内では2016年から長崎県五島列島で浮体式洋上風力発電所が運転を始めております。

また福島沖で実証研究が行われている福島浮体式洋上ウィンドファームは、浮体式洋上風力発電において、世界最大規模となっています。

実証研究は一旦終了しておりますが、今後も一部実証のための稼働は継続し、採算性ふくめ実用化についての可能性を探っていくようです。

www.sankei.com

 

 

再生可能エネルギーの特徴と課題 

水力発電

メリット

・一定量の電力を安定して供給が可能

・長期間動かせる

・CO2を出さない

デメリット

・新しく開発できる場所は限られている

・開発されていない場所は奥地で規模も小さい

 

太陽光

メリット

・さまざまな場所に設置しやすい

・災害など非常時にも使いやすい

・CO2を出さない

デメリット

・夜は発電できない

・天気によって発電量が不安定

・バランスを調整する電力は必要

  

バイオマス

メリット

・生物資源を有効に活用するので環境にやさしい

・農村などの自然の循環をいかせる

デメリット

・資源が広い地域にちらばっていて集めたり運んだりするのが大変

 

風力

メリット

・夜も発電できる

・海の上でも発電できる

・CO2を出さない

デメリット

・風の状況で発電量が不安定

・風の強い場所は限られる

・送電線を整備する必要がある

 

地熱

メリット

・天気に左右されず、昼も夜も発電できる

・資源が無くなる心配がない

・CO2を出さない

デメリット

・調査にお金と時間がかかる

・発電できる場所は公園や温泉などが多く地域との調整が必要

 

今後注目されるエネルギー

次世代太陽電池

次世代太陽電池の市場は2019年見込みの6億円に対し、2030年は4563億円に拡大と予測されています。

この次世代太陽電池は日本発の技術「ペロブスカイト太陽電池」の開発によって世界的に注目されています。

ペロブスカイト太陽電池の特徴はシリコン系太陽電池などに匹敵する高い変換効率を持ちながら、フィルムタイプにできるなど柔軟性が高く、住宅の窓や自動車のルーフにも取り付けられるなど汎用性も高く、大変注目度の高い技術です。

newswitch.jp

 

水素発電

日本政府が主体となって推進を進めようとしているのが水素発電です。

究極のクリーンエネルギー」とも呼ばれ、発電時には水しかでないため非常に環境にやさしのが特徴です。

ごく簡単に言えば水素(H2)と酸素(O2)を反応させて水(H2O)と共に電気を発生させる仕組みです。

そして肝心な水素の調達方法ですが、

・廃プラ ・下水 ・メタノール/エタノール ・化石燃料 ・製鉄所や化学工場

などから水素を作り出すことが可能です。

上記のうち化石燃料から水素をつくるときにはCO2が排出されますが、海外で実用化されているCO2を地中に貯蔵する技術「CCS」と組み合わせることで、実質、二酸化炭素排出ゼロにすることができます。

このような特徴から水素発電は環境面において非常に優位性があります。

しかしながらLNGや石炭に比べてコストが高いことがネックとされ、目下の課題となっております。

言い換えればコスト面が克服できれば今後大きく成長できる分野となると予測されています。

国内では2020年代に実用化、2030年代には大規模化と海外輸出が出来る技術として注目が集まっています。

「水素発電所」の実現へ前進、神戸市で水素専焼ガスタービンの実証運転に成功 - スマートジャパン

 

以上、再生可能エネルギーについてまとめてみました。

将来のクリーンエネルギーの本命として、日本では水素発電に最も注目が集まっているようです。

 

まとめ

この記事をざっくり要約すると

  1. 再エネ比率が最も高い国はカナダで全体の72%を占める。

  2. 日本の再エネ比率は19.1%と低い。水力と太陽光の割合が高い。

  3. 世界では太陽光と風力が主流に。島国イギリスは洋上水力発電に活路。

  4. 山地の多い日本は風力発電の比率が低い。今後は浮体式洋上風力発電に注目。

  5. 今後注目のエネルギーは「新世代太陽電池」「水素発電」など。 

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