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瞬間最大風速ランキング~歴代1位は富士山頂の風速91m/s~

大型で非常に強い台風10号は9月6日3時推定で沖縄県の南大東島近海を通過し北上しています。

非常に強い勢力を維持して九州に接近、上陸する恐れがある台風10号について気象庁は、1959年に大きな被害を出した伊勢湾台風並みの勢力として危機感を強めていて、記録的な高波暴風による被害が懸念されています。

 

今回は瞬間最大風速のランキングです。

 

台風

台風の特別警報とは 

 

今回気象庁から「特別警報級」という言葉が繰り返し出されています。

「特別警報」とは大雨、噴火、津波、台風などで特に被害が甚大となるおそれが大きいときに発表される警報です。

 

では台風におけ特別警報の基準について気象庁は以下の条件としています。

「伊勢湾台風」級(中心気圧930hPa以下又は最大風速50m/s以上)の台風や同程度の温帯低気圧が来襲する場合に、特別警報を発表します。
ただし、沖縄地方、奄美地方及び小笠原諸島については、中心気圧910hPa以下又は最大風速60m/s以上とします。

~引用:「気象等の特別警報の指標」気象庁~

 

今回の台風10号は、中心気圧925hPa・最大風速50m/s、瞬間最大風速70m/sと発表されており、現在のところ台風の特別警報級に相当する強さを維持しています。 

 

風の強さと影響の目安

階級 風速の範囲(3秒平均) 主な被害の状況(参考)
JEF1 39~52m/s ・木造の住宅において、比較的広い範囲の屋根ふき材が浮き上がったり、はく離する。
・軽自動車や普通自動車(コンパクトカー)が横転する。
・道路交通標識の支柱が傾倒したり、倒壊する。
・コンクリートブロック塀(鉄筋あり)が損壊したり、倒壊する。
JEF2 53~66m/s ・普通自動車(ワンボックス)や大型自動車が横転する。
・鉄筋コンクリート製の電柱が折損する。
・カーポートの骨組が傾斜したり、倒壊する。
JEF3 67~80m/s ・木造の住宅において、上部構造が著しく変形したり、倒壊する。
・鉄骨系プレハブ住宅において、屋根の軒先又は野地板が破損したり飛散する.
JEF4 81~94m/s ・工場や倉庫の大規模な庇において、比較的広い範囲で屋根ふき材がはく離したり、脱落する。
JEF5 95m/s~ ・鉄骨系プレハブ住宅や鉄骨造の倉庫において、上部構造が著しく変形したり、倒壊する。

 (参考:日本版改良藤田スケールを基に作成)気象庁|日本版改良藤田(JEF)スケールとは

 

特別警報級の風速【50m/s~】ということは、電柱や街灯が倒れたりワンボックスカーが横転するレベルということになります。

 

記憶に新しいところでは、2019年9月9日に千葉へ上陸した台風15号は、最大瞬間風速57.5m/sを記録しました。

千葉県の市原市ではゴルフ練習場のポールが倒壊して民家に直撃したほか、君津市では鉄塔2基が倒壊するなど、各地で倒木や建物損壊する甚大な被害となりました。

 

ちなみに台風では中心地点の右側(東側)の方がより強風になる傾向があるようです。

これは中心に向かって反時計回りにふきこむ風と、台風自体を動かしている風との2つが同じ方向になって合わさるので風が強くなるためです。

そして雨も同様に右側ほど強くなるとのことです。

weathernews.jp

 

それでは過去の瞬間最大風速ランキングについて見ていきたいと思います。

「最大風速」は10分間の平均風速の最大値、「最大瞬間風速」は瞬間風速の最大値です。

 天気予報や気象情報などで「風速○メートル」という場合、10分間の平均風速を指します。

 

日本の瞬間最大風速ランキングTop20

順位 都道府県 地点 観測値(m/s) 風向 起日

現在観測

を実施

1 静岡県 富士山 * 91 南南西 1966年9月25日 -
2 沖縄県 宮古島 * 85.3 北東 1966年9月5日
3 高知県 室戸岬 * 84.5  西南西 1961年9月16日
4 沖縄県 与那国島 * 81.1 南東 2015年9月28日
5 鹿児島県 名瀬 * 78.9 東南東 1970年8月13日
6 沖縄県 那覇 * 73.6 1956年9月8日
7 愛媛県 宇和島 * 72.3 西 1964年9月25日
8 沖縄県 石垣島 * 71 南南西 2015年8月23日
9 沖縄県 西表島 * 69.9 北東 2006年9月16日
10 徳島県 剣山 * 69 南南東 1970年8月21日 -
11 鹿児島県 屋久島 * 68.5 東北東 1964年9月24日
12 東京都 八丈島 * 67.8 1975年10月5日
13 静岡県 石廊崎 * 67.6 東北東 2004年10月9日
14 沖縄県 盛山 67.4 南南西 2015年8月23日
15 徳島県 徳島 * 67.0  南南東 1965年9月10日
16 熊本県 牛深 * 66.2 東北東 1999年9月24日
17 沖縄県 南大東(南大東島) * 65.4 北東 1961年10月2日
18 沖縄県 所野 63.8 東北東 2015年9月28日
沖縄県 志多阿原 63.8 南南東 2010年9月19日 -
20 長崎県 雲仙岳 * 63.7 2004年10月20日

 出典:(気象庁|歴代全国ランキング )上記は2020年9月4日時点

 

富士山頂レーダーは伊勢湾台風の教訓から建設された

1位の富士山(91m/s)は富士山頂気象観測所が設置されていた際の記録です。

1966年9月25日の台風25号による暴風雨によって記録されたもので、以後54年間塗り替えられていません。

 

現在は廃止された富士山頂気象観測所は1936年に最高峰・剣ヶ峰に設置されました。

(私設の気象観測は古くは明治時代から存在)

当初は高山気象の観測を目的に建設されたものです。

しかし1959年の伊勢湾台風で甚大な被害を受けた教訓から、日本に接近する台風をいち早くキャッチすること目的として、64年にドーム型の富士山レーダーを設置しました。

余談ですが、当時ドーム建設に貢献したメンバーには、のちに小説家になった新田次郎(藤原寛人)氏です。(当時は気象庁所属)

 

富士山レーダーは日本で最も高い標高を活かして、その後の台風観測に大きな役割を果たしました。

しかし、気象衛星の発達と共に徐々にその意義は失われていき、1999年にレーダー観測は廃止され、2004年には測候所も閉鎖となりました。

 

そして2位以下からの瞬間最大風速のランキング地点では、やはり沖縄県の突出した多さが目立ちます。

これについては後程解説いたします。

 

最後に台風の上陸数が多い都道府県のランキングです。 

台風の上陸数が多い都道府県ランキングTop10

順位 都道府県 上陸数
1 鹿児島県 41
2 高知県 26
3 和歌山県 24
4 静岡県 21
5 長崎県 17
6 宮崎県 14
7 愛知県 12
8 千葉県 9
9 熊本県 8
10 徳島県 7

 出典:(気象庁|歴代全国ランキング)1951年~2019年第29号まで

 

台風の「上陸数」では鹿児島県が1位。沖縄県は入らず。

このランキングには全国で最も台風の影響が大きいはずの沖縄県が出ていません。

実は日本気象庁の定義では台風の"上陸”という言葉を用いるのは、本州、北海道、九州、四国の海岸に台風の中心が達した際と定義されているようです。

なので沖縄に台風上陸という言葉は今後も使われることはないようです。

台風が沖縄諸島に達する場合は”最接近”であり、その後”通過”という表現になるということです。

 

ところでなぜ台風は常に南から北へ向かい、そして特に沖縄諸島付近を通ることが多いのかということになると、台風の進路決定の特徴に関係があります。

 

台風進路の特徴
  • 赤道など熱帯地方で発生した台風は地球の自転の影響を受け北へ進もうとする
  • 赤道付近は東から西に貿易風が吹いているので、基本的にゆっくり北西方向に進む
  • 台風は日本列島の南東に位置する「太平洋高気圧」の縁を進んでいく性質がある
  • 大陸からの偏西風の影響を受けると、朝鮮半島方面には北上せず本州方面(東側)に進路を変える

台風の進路
出所:weathernews
 

まとめ

この記事をざっくり要約すると
    1. 台風の特別警報とは伊勢湾台風クラスが基準(中心気圧930hPa以下又は最大風速50m/s以上)
    2. 日本の最大瞬間風速ランキング1位は富士山頂
    3. 富士山頂のレーダー観測は伊勢湾台風の教訓から建設された
    4. 都道府県別上陸数のトップは鹿児島県。ただし沖縄県は上陸数にカウントされず。
    5. 沖縄への接近が多い理由は、台風が熱帯地域で発生し自転の影響で北上する性質と「太平洋高気圧」の縁を通る性質から。

 

 

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