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スパコン性能ランキング(2020年6月)~「富岳」が4冠達成!~

スーパーコンピューター(通称:スパコン)の性能を競う最新の世界ランキング2020年6月版が発表され、理化学研究所の最新スパコン「富岳」が計算速度など4つの部門で世界一となりました。

 

今回は世界のスパコン性能ランキングです。

スパコン



コンピューター開発は米中2強時代

世界のスーパーコンピューター開発は過去には、日本とアメリカが共にしのぎを削る日米2強の時代(1990年代)がありました。

しかしその後、日本は相対的に力を落としていくことになり、2011年11月に理化学研究所のスパコン「京」がコンピューターの世界ランキング「TOP500」に2連覇したのを最後に、アメリカと中国の2強時代に突入しておりました。

近年日本が苦戦を強いられてきた大きな理由は、開発にかかわる巨額な費用です。

米国や中国は国の威信をかけてプロジェクト動かしているのに比べ、日本は数年に1度しか大きな開発が出来ていない現状です。

しかし、地道に研究開発を続けてきたことで、今回は米中勢の最新コンピューター投入前の間隙をぬって日本の「富岳」が実に9年ぶりに首位の座を奪還することとなりました。

 

スパコン性能ランキング「TOP500」歴代1位

ランク付け年月 設置国 名称
2020年 6月 日本 富岳
2019年 11月 米国 サミット
6月
2018年 11月
6月
2017年 11月 中国 神威・太湖之光
6月
2016年 11月
6月
2015年 11月 天河二号
6月
2014年 11月
6月
2013年 11月
6月
2012年 11月 米国 タイタン
6月 セコイア
2011年 11月 日本
6月

 (出典:Wikipedia)

 

スーパーコンピューター富岳

EE TIMES JAPAN

「富岳」が史上初の4冠を達成

スーパーコンピューターの世界ランキングは、専門家による国際会議が半年ごとに発表しております。

その結果、主に6つある部門のうち、「富岳」は最も基本的な計算速度を競う部門「TOP500」を含む4つの部門で2位に大差をつけて第1位を獲得しました。

またコンピューターの世界ランキング史上初めての4冠達成となりました。

富岳が1位となった4部門

  • 「TOP500」:計算速度
  • 「HPCG」:シミュレーションに使うことが多い計算方法
  • 「HPL-AI」:人工知能の学習性能
  • 「Graph500」:ビッグデータの処理性能

ちなみに「富岳」の名称は富士山の異名を由来としていて、富士山のような高さ(性能の高さ)とすそ野の広さ(ユーザーの拡がり=汎用性の高さ)にちなんだとされますが、今回はまさにその名前に全く劣らない結果となりました。

 

 以下に最も基本とされる計算速度のランキングのトップ10の結果となります。

 

スパコン性能ランキング「TOP500」(2020年)

順位 名称 ベンダー 1秒間の計算能力(単位:兆回)
1 富岳 富士通 日本 415,530
2 サミット IBM 米国 148,600
3 シエラ IBM 米国 94,640
4 神威・太湖之光 NRCPC 中国 93,015
5 天河二号 NUDT 中国 61,445
6 Frontera Dell EMC 米国 23,516
7 Piz Daint Cray Inc. スイス 21,230
8 Trinity Cray Inc. 米国 20,159
9 AI橋渡しクラウド 富士通 日本 19,880
10 SuperMUC-NG レノボ ドイツ 19,477

(出典:TOP500 List - June 2020 | TOP500   )

 

「富岳」の計算速度は2位の3倍、「京」の100倍

今回1位となった富岳の計算速度は、1秒間に1兆の40万倍以上の回数で、昨年まで4連覇を果たしていたアメリカのスーパーコンピュター「サミット」のおよそ3倍でした。

日本のスパコンが計算速度を競う部門で1位になるのは、理化学研究所のスパコン「京」以来、9年ぶりです。

富岳の性能は京の100倍を目指して開発されました。その結果、京が1年かかった計算を富岳であれば4日で終える処理能力を有します。

さらに先代の京と大きく異なる点はその汎用性の高さにあります。

理化学研究所の松岡センター長は「(京は)汎用性に乏しく、商業的に成功したとは言えない」と評価しており、一方の富岳は「巨大なスマートフォンのようなもの」と例え、使いやすさの面をより強調しています。

「人工知能(AI)に対応した機能も意識して入れた。汎用性と超並列による高速マシン、それが富岳です」と語っています。

今回のランキング結果を受けて理化学研究所は、「主要な項目で突出して世界最高性能を示すことができた。「富岳」やそのテクノロジーでさまざまな社会問題を解決できるだろう」とコメントしています。

 

応用範囲の広い「富岳」の活用方法

理化学研究所は富岳を 新型コロナウイルスの研究に関して優先的に利用可能にしたことを発表しました。

富岳の本格運用は2021年からを予定しておりますが、国難と言える同ウイルスの対策に貢献し、成果をいち早く創出するため、技術的なサポートを行なうと発表しています。

新型コロナウイルスの性質を明らかにしたり、その治療薬となり得る物質の探索診断法や治療法を向上させるための研究に活用するとのことです。

 

また理化学研究所は「新たな価値を生み出す超スマート社会の実現を目指すSociety5.0において、シミュレーションによる社会的課題の解決やAI開発および情報の流通・処理に関する技術開発を加速するための情報基盤技術として、「富岳」が十分に対応可能であることを実証するものである」とコメントしております。

スーパーコンピュータ「富岳」TOP500、HPCG、HPL-AIにおいて世界第1位を獲得 | 理化学研究所

 
Society5.0とは狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱される。

具体的にはIoT(Internet of Things)、ロボットAI(人工知能)、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会の実現を目指すこととしています。

 

さらに言えば「Society 5.0」の真の目的は、loTやAI、クラウド、ドローン、自動走行車・無人ロボットなどの活用を推進し、これら最新テクノロジーの活用により最終的には少子高齢化・地域格差・貧富の差などの課題を解決し、一人ひとりが快適に暮らせる社会を実現することになります。

 

これらの実現のために、高性能コンピューターの活用は必要不可欠となっていて、富岳の活用が大いに期待されるところです。

 

世界では既に次世代の高速計算機である量子コンピューターの開発も進んでいます。

デジタル技術が社会を変えるなか、日本として高速コンピューターの技術をどう開発し、活用していくか、中長期の戦略を描くことも今後必要になります。

 

 

まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. スパコン開発において現在は米中2強時代に突入
  2. 2020年世界のスパコンランキングで日本の「富岳」が4冠に輝く快挙達成
  3. 日本勢の計算速度世界1位は「京」以来9年ぶり
  4. 「富岳」は実用性も高く、今後コロナ対策やSociety5.0社会に向けた活用が見込まれる

 

 

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