アメリカ大統領選の本選挙はいよいよ佳境を迎えています。
しかし、アメリカの選挙方式は日本の選挙とはいろいろな面で違っており、なかなかわかりにくい面もあると思います。
2020年大統領選では11月3日に一般投票が行われます。ここで18歳以上の有権者が投票を行います。
しかしこの一般投票=決定ではなく、一般投票の結果を受けて12月14日に行われる”選挙人”と呼ばれる各州の代表者の投票によって最終決定されることになります。
この「選挙人」と呼ばれる人たちは州の人口規模に応じて人数が割り当てられています。
よって人口の多い州ほど選挙人の割り当て数も多いため、人口上位の州は”大票田”と呼ばれています。
今回はアメリカ合衆国の州別人口ランキングです。
アメリカ大統領選の投票制度
大統領選挙で、一般の有権者が投票日は”11月の最初の月曜日の次の火曜日”と決まっています。(よって20年11月3日)
この投票で実質的には次期大統領が決まりますが、実際は有権者の声を代弁する「選挙人」呼ばれる人たちがおり、彼らが一般投票の結果を受けて”12月の第2水曜日の次の月曜日”(よって20年12月14日)に改めて投票する仕組みとなっています。
選挙人は各州の人口をベースにそれぞれ割り当てられています。
例えば人口の最も多いカリフォルニア州は最多の55人で、逆に最も人口の少ないワイオミング州では3人というように州の人口によって選挙人の数に大きな差があります。
そして基本的には、勝った候補がその州の割り当て数を総取りします。(例外はメイン州とネブラスカ州の2州のみで得票率で按分)
カリフォルニア州の例でいえば、仮に一般投票の結果が1票差の僅差であったとしても、選挙人枠の55票をすべて獲得することになります。
(まれに選挙人が投票拒否などの造反をする場合もある)
前回2016年選挙では、一般の総得票数ではヒラリー候補のほうが多かったにも関わらず、選挙人の数でトランプ大統領が勝利しました。
よって、選挙人の多い大票田(人口が多い州)での激戦区を制することが非常に重要な戦略となってきます。
それではアメリカの 州別人口(2019年推計)です。
アメリカ合衆国 州別人口ランキング
順位 | 州名 |
2019年 人口 |
(参考)2010年 人口 |
増加率 | 州都 | 州最大都市 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | カリフォルニア州 | 39,512,223 | 37,319,502 | 5.9% | サクラメント | ロサンゼルス |
2 | テキサス州 | 28,995,881 | 25,241,971 | 14.9% | オースティン | ヒューストン |
3 | フロリダ州 | 21,477,737 | 18,845,537 | 14.0% | タラハシー | ジャクソンビル |
4 | ニューヨーク州 | 19,453,561 | 19,399,878 | 0.3% | オルバニー | ニューヨーク |
5 | ペンシルベニア州 | 12,801,989 | 12,711,160 | 0.7% | ハリスバーグ | フィラデルフィア |
6 | イリノイ州 | 12,671,821 | 12,840,503 | -1.3% | スプリングフィールド | シカゴ |
7 | オハイオ州 | 11,689,100 | 11,539,336 | 1.3% | コロンバス | |
8 | ジョージア州 | 10,617,423 | 9,711,881 | 9.3% | アトランタ | |
9 | ノースカロライナ州 | 10,488,084 | 9,574,323 | 9.5% | ローリー | シャーロット |
10 | ミシガン州 | 9,986,857 | 9,877,510 | 1.1% | ランシング | デトロイト |
11 | ニュージャージー州 | 8,882,190 | 8,799,446 | 0.9% | トレントン | ニューアーク |
12 | バージニア州 | 8,535,519 | 8,023,699 | 6.4% | リッチモンド | バージニアビーチ |
13 | ワシントン州 | 7,614,893 | 6,742,830 | 12.9% | オリンピア | シアトル |
14 | アリゾナ州 | 7,278,717 | 6,407,172 | 13.6% | フェニックス | |
15 | マサチューセッツ州 | 6,892,503 | 6,566,307 | 5.0% | ボストン | |
16 | テネシー州 | 6,829,174 | 6,355,311 | 7.5% | ナッシュビル | |
17 | インディアナ州 | 6,732,219 | 6,490,432 | 3.7% | インディアナポリス | |
18 | ミズーリ州 | 6,137,428 | 5,995,974 | 2.4% | ジェファーソンシティ | カンザスシティ |
19 | メリーランド州 | 6,045,680 | 5,788,645 | 4.4% | アナポリス | ボルチモア |
20 | ウィスコンシン州 | 5,822,434 | 5,690,475 | 2.3% | マディソン | ミルウォーキー |
21 | コロラド州 | 5,758,736 | 5,047,349 | 14.1% | デンバー | |
22 | ミネソタ州 | 5,639,632 | 5,310,828 | 6.2% | セントポール | ミネアポリス |
23 | サウスカロライナ州 | 5,148,714 | 4,635,649 | 11.1% | コロンビア | |
24 | アラバマ州 | 4,903,185 | 4,785,437 | 2.5% | モンゴメリー | バーミングハム |
25 | ルイジアナ州 | 4,648,794 | 4,544,532 | 2.3% | バトンルージュ | ニューオーリンズ |
26 | ケンタッキー州 | 4,467,673 | 4,348,181 | 2.7% | フランクフォート | ルイビル |
27 | オレゴン州 | 4,217,737 | 3,837,491 | 9.9% | セイラム | ポートランド |
28 | オクラホマ州 | 3,956,971 | 3,759,944 | 5.2% | オクラホマシティ | |
29 | コネチカット州 | 3,565,287 | 3,579,114 | -0.4% | ハートフォード | ブリッジポート |
30 | ユタ州 | 3,205,958 | 2,775,332 | 15.5% | ソルトレイクシティ | |
31 | アイオワ州 | 3,155,070 | 3,050,745 | 3.4% | デモイン | デモイン |
32 | ネバダ州 | 3,080,156 | 2,702,405 | 14.0% | カーソンシティ | ラスベガス |
33 | アーカンソー州 | 3,017,804 | 2,921,964 | 3.3% | リトルロック | |
34 | ミシシッピ州 | 2,976,149 | 2,970,548 | 0.2% | ジャクソン | |
35 | カンザス州 | 2,913,314 | 2,858,190 | 1.9% | トピカ | ウィチタ |
36 | ニューメキシコ州 | 2,096,829 | 2,064,552 | 1.6% | サンタフェ | アルバカーキ |
37 | ネブラスカ州 | 1,934,408 | 1,829,542 | 5.7% | リンカーン | オマハ |
38 | ウェストバージニア州 | 1,792,147 | 1,854,239 | -3.3% | チャールストン | |
39 | アイダホ州 | 1,787,065 | 1,570,746 | 13.8% | ボイシ | |
40 | ハワイ州 | 1,415,872 | 1,363,963 | 3.8% | ホノルル | |
41 | ニューハンプシャー州 | 1,359,711 | 1,316,762 | 3.3% | コンコード | マンチェスター |
42 | メイン州 | 1,344,212 | 1,327,629 | 1.2% | オーガスタ | ポートランド |
43 | モンタナ州 | 1,068,778 | 990,697 | 7.9% | ヘレナ | ビリングス |
44 | ロードアイランド州 | 1,059,361 | 1,053,959 | 0.5% | プロビデンス | |
45 | デラウェア州 | 973,764 | 899,593 | 8.2% | ドーバー | ウィルミントン |
46 | サウスダコタ州 | 884,659 | 816,166 | 8.4% | ピア | スーフォールズ |
47 | ノースダコタ州 | 762,062 | 674,715 | 12.9% | ビスマーク | ファーゴ |
48 | アラスカ州 | 731,545 | 713,910 | 2.5% | ジュノー | アンカレッジ |
49 | バーモント州 | 623,989 | 625,879 | -0.3% | モントピリア | バーリントン |
50 | ワイオミング州 | 578,759 | 564,487 | 2.5% | シャイアン | |
- | コロンビア特別区* | 705,749 | 605,226 | 16.6% | - |
*コロンビア特別区(通称:ワシントンDC)は1801年に成立した州に属さない連邦直轄地域である。
(出典:2019 National and State Population Estimates : 州都、最大都市はwikipedia参照)
最大人口はカリフォルニア州で民主党の大票田
アメリカの人口最大州は西部のカリフォルニア州で人口はおよそ3950万人です。
全米の総人口は3億2千万人なので、総人口の12%をカリフォルニア州が占めていることになります。
州の最大都市はロサンゼルス市でおよそ400万人を有しています。
カリフォルニア州には他にもサンディエゴやサンフランシスコなどの有名都市があります。
選挙人の数は55人と米国内の最大票田エリアとなりますが、大統領選においては2000年以降すべて民主党が勝利しています。
2位は南部のテキサス州でおよそ2900万人です。テキサス州はここ9年で約15%も人口が増加しています。
最大都市はヒューストン、他にもサンアントニオやダラスなどの都市を抱えています。
テキサス州は選挙人38人ですが共和党が非常に強い州となっていて、こちらは2000年以降は共和党がすべて勝利しています。
ただし近年は中南米系の住民が増加していることなどから、白人と非白人比率が拮抗してきており、共和党の圧倒的な優位性はなくなってきています。
米大統領選 「赤い州」が「青い州」へのなぜ アリゾナ、くすむ共和色 - 毎日新聞
3位は南東部のフロリダ州で2100万人です。
2010年時点ではニューヨーク州に次ぐ4番目の州でしたが、近年は人口増加が著しく現在ではニューヨーク州を抜いて全米3位の州となっています。
最大都市はジャクソンビルですが、他にもマイアミやテーマパークのメッカとして知られるオーランドなどがあります。
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そしてこのフロリダ州は29人の大票田となっていますが、2000年以降は共和党が3回、民主党が2回と大激戦地区となっています。
4位はニューヨーク州で1940万人です。
最大都市は北東部のニューヨーク市で 市域人口800万人と全米最大の都市です。また都市圏人口はおよそ2000万人で世界11位となっています。
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ニューヨーク州はフロリダと同じく選挙人29人の大票田です。こちらは民主党の地盤となっていて、2000年以降すべて民主党が勝利しています。
大統領選・州別選挙人数ランキング
順位 | 州名 | 選挙人割当数 | 2016年結果 |
---|---|---|---|
1 | カリフォルニア州 | 55 | 民主党 |
2 | テキサス州 | 38 | 共和党 |
3 | フロリダ州 | 29 | 共和党 |
3 | ニューヨーク州 | 29 | 民主党 |
5 | イリノイ州 | 20 | 民主党 |
5 | ペンシルベニア州 | 20 | 共和党 |
7 | オハイオ州 | 18 | 共和党 |
8 | ジョージア州 | 16 | 共和党 |
8 | ミシガン州 | 16 | 共和党 |
10 | ノースカロライナ州 | 15 | 共和党 |
11 | ニュージャージー州 | 14 | 民主党 |
12 | バージニア州 | 13 | 民主党 |
13 | ワシントン州 | 12 | 民主党 |
14 | アリゾナ州 | 11 | 共和党 |
14 | マサチューセッツ州 | 11 | 民主党 |
14 | インディアナ州 | 11 | 共和党 |
14 | テネシー州 | 11 | 共和党 |
18 | ミズーリ州 | 10 | 共和党 |
18 | メリーランド州 | 10 | 民主党 |
18 | ウィスコンシン州 | 10 | 共和党 |
18 | ミネソタ州 | 10 | 民主党 |
22 | コロラド州 | 9 | 民主党 |
22 | サウスカロライナ州 | 9 | 共和党 |
22 | アラバマ州 | 9 | 共和党 |
25 | ルイジアナ州 | 8 | 共和党 |
25 | ケンタッキー州 | 8 | 共和党 |
27 | オレゴン州 | 7 | 民主党 |
27 | オクラホマ州 | 7 | 共和党 |
27 | コネチカット州 | 7 | 民主党 |
30 | アイオワ州 | 6 | 共和党 |
30 | ユタ州 | 6 | 共和党 |
30 | ミシシッピ州 | 6 | 共和党 |
30 | アーカンソー州 | 6 | 共和党 |
30 | カンザス州 | 6 | 共和党 |
30 | ネバダ州 | 6 | 民主党 |
36 | ニューメキシコ州 | 5 | 民主党 |
36 | ネブラスカ州 | 5 | 共和党 |
36 | ウェストバージニア州 | 5 | 共和党 |
39 | アイダホ州 | 4 | 共和党 |
39 | ハワイ州 | 4 | 民主党 |
39 | ニューハンプシャー州 | 4 | 民主党 |
39 | メイン州 | 4 | 民主党 |
39 | ロードアイランド州 | 4 | 民主党 |
44 | モンタナ州 | 3 | 共和党 |
44 | デラウェア州 | 3 | 民主党 |
44 | サウスダコタ州 | 3 | 共和党 |
44 | ノースダコタ州 | 3 | 共和党 |
44 | アラスカ州 | 3 | 共和党 |
44 | バーモント州 | 3 | 民主党 |
44 | ワイオミング州 | 3 | 共和党 |
44 | ワシントンDC* | 3 | 民主党 |
- | 合計 | 538 |
共306:民232 (304:227) |
*コロンビア特別区(通称:ワシントンDC)は州ではないが3人の選挙人が割り当てられている
大混戦必死の州は6州
政治情報サイト「リアルクリアポリティクス」による世論調査の情報では、支持率の差が8%未満の激戦州は12州に上っております。
その中でもアイオワ州(6)、ノースカロライナ州(15)、フロリダ州(29)、ジョージア州(16)、オハイオ州(18)、アリゾナ州(11)の6つの州は4%未満と拮抗していて大混戦が予想されています。
特にフロリダ州は29人の選挙人を有しており、今回の結果を大きく左右する州の一つとなりそうです。
また近年の大統領選挙では、「オハイオを制するものは全米を制する」と言われることがあるようです。
この半世紀余り、中西部のオハイオ州で勝利した候補者が大統領に選ばれているためということですが今回はどうでしょうか。
まとめ
この記事をざっくり要約すると
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アメリカの大統領選は一般投票と選挙人投票によって決まる
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選挙人は州ごとに割り当てられ、州の人口をベースに人数が決められている
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州別人口ランキングのトップはカリフォルニア州で最大都市はロスアンゼルス
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選挙人数ランキングのトップはカリフォルニア州の55名で全体の1割強を占める
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注目は混戦必死の6州。中でもフロリダ州とオハイオ州に注目。