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世界幸福度ランキング2020年~フィンランドが3年連続で首位~

人生の究極の目的を一つあげるとすると、「幸福に生きる」というシンプルな答えに落ち着くかもしれません。

今回は世界幸福度ランキングをご紹介します。 

 

幸せ感あふれる女性

 

世界幸福度ランキングについて

国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)は2020年3月20日、2020年版の「世界幸福度報告書」を発行し、世界幸福度ランキングを発表しました。

このランキングは国連によって2012年以降毎年発表されています。

調査対象は世界156の国や地域とし、評価方法は「自分にとって最良の人生から最悪の人生の間を最低0から最高10までに分けた時、今自分はどの位置にあるか」という質問によって幸福度をランキング化したものです。

ここでの幸福度とは「幸福=ハッピー」をあわらすわけではないことには注意が必要です。

そしてこの主観的幸福度の評価結果に対して6つの説明変数(評価項目)で回帰分析して寄与度も分析しています。

6つの評価項目は以下の通りです。

  1. 人口あたりGDP(対数)
  2. 社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)
  3. 健康寿命 
  4. 選択の自由人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか) 
  5. 寛容さ・気前の良さ(過去1か月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか) 
  6. 腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)

 

以下に世界幸福度ランキング2020のランキング結果をご紹介します。

世界幸福度ランキング2020 Top20

総合順位 国・地域名 総合幸福度
1 フィンランド 7.809
2 デンマーク 7.646
3 スイス 7.56
4 アイスランド 7.504
5 ノルウェー 7.488
6 オランダ 7.449
7 スウェーデン 7.353
8 ニュージーランド 7.3
9 オーストリア 7.294
10 ルクセンブルグ 7.238
11 カナダ 7.232
12 オーストラリア 7.223
13 イギリス 7.165
14 イスラエル 7.129
15 コスタリカ 7.121
16 アイルランド 7.094
17 ドイツ 7.076
18 アメリカ 6.94
19 チェコ 6.911
20 ベルギー 6.864
(62) 日本 5.871

(出典:World happiness report

 

首位は3年連続でフィンランド  

今回も首位はフィンランドとなり3年連続のトップとなっています。他にも上位には北欧諸国が並びます。G7ではカナダ11位、イギリス13位、ドイツ17位、米国18位、フランス24位、イタリア30位となっている中、日本は62位と先進国では最も低い順位となっています。

 

フィンランドが高い評価となったのは、社会支援自由度社会腐敗度の低さです。

社会支援についてはフィンランドに限らず北欧諸国はおしなべて社会保障が充実しているという高福祉・高負担の国となっています。(代わりに税率は非常に高い)

 

 

フィンランドでは、「ネウボラ」という制度があります。これは子供が生まれる前から小学校に上がるまでの成長をサポートする制度です。オムツや衣類などの赤ちゃんに必要な数十種類におよびアイテムがすべての子供に無料で提供されます。

そして学校に入れば初等教育から高等教育(大学院)まですべて授業料が無料で、義務教育の期間に至っては教科書代や給食費までもが無料となっています。

よって意欲さえあればすべての子供たちが平等に学習する機会を持つことが可能になります。そして教員のレベルも非常に高いのがフィンランドの特徴です。

その結果、学力レベルは全体的に高くPISAの結果は世界でもトップクラスとなっています。

 

しかし、社会は学歴を偏重することなく、就職においてどの大学に出たかで有利不利になることはあまりないそうです 。

自由度においても日本と大きく異なります。一言でいえば非常にフレキシブな国と言えます。

大学の卒業も決まった時期は無く、卒論が完成すればいつでも卒業できるうえに、就職する時期もそれぞれ違うということです。

また仕事においても終身雇用・年功序列ではないため、転職するのはごく一般的で、さらに一度社会人になってから改めて大学に通って学び直し、違う分野に転職する人も多いそうです。

またこれは先述の社会支援に関係しますが、老後においては年金制度が充実していて、老後資金の心配が少ない点も国民の安心材料になっていると思います。

それ以外にも事実婚や同性婚についても非常に柔軟な考えを持っています。

とにかく一言でいうと「○○(学生・男性・女性・社会人)はこうあるべき」という固定概念がない国と言えます。

逆に言うと「〜はこうあるべき」がありすぎる社会だと、息苦しさを感じてしまう人も増えてしまうのかもしれません。

 ワークライフバランス世界1位!フィンランド流ゆとりのある生き方。フィンランド人は、仕事も、家庭も、趣味も、勉強も、なんにでも貪欲。でも、睡眠時間は平均7時間半以上。ヘルシンキは、ヨーロッパのシリコンバレーと呼ばれる一方で、2019年にワークライフバランス世界1位に。やりたいことはやる。でもゆとりのあるフィンランド流の働き方&生き方の秘訣を紐解きます。~BOOKデータベースより引用~

 

日本の幸福度は低い 

日本は世界156カ国中で62位という結果で前回順位58位よりも更に下げてしまいました。2018年結果からは実に8ランクダウンとなります。

日本は2010年代前半に40位代でしたが、以降徐々に順位を下げている状況です。
平和で安全な国であり経済的にも恵まれた国でありながら、相対的に幸福度は低いという結果です。

 

日本のランキングが低い理由は「主観満足度」以外には「自由度」「寛容さ」の2項目が低い評価となっています。

自由度についてはほとんどフィンランドの逆と考えればよく分かるかもしれません。

ただし寛容さについては、「1か月以内に寄付をしたかどうか」が設問になっており、寄付文化の低い日本では非常に加点がしにくい状況です。

これはどちらかといえばキリスト教の文化に基づいた設問ともいえます。

 

内閣府の分析

2019年、内閣府は「『満足度・生活の質に関する調査』に関する第1次報告書」の中で以下のような分析結果を発表しました。

①総合主観満足度の平均点は 5.89点

②女性の方が満足度は高い

③年齢別では「谷型」(45~59歳が最も低く、60歳以降で最も高くなる

⑤健康状態がよいほど満足度が高く、悪いと満足度は下がる

⑥頼れる人・ボランティア活動が増加するほど満足度が高い

⑦趣味や生きがいがあると満足度が高い

 

②の女性の方が満足度が高いという結果について、ジェンダー指数では男女格差が大きい国と言われる日本ですが、なぜか幸福度調査などでは常に女性よりも男性の幸福度が低いという結果が出ています。

2010年~2014年の男女のポイント差平均は-8.2ポイント(男性が低い)となっており、これは世界で1位の差でした。

また③の年齢別では谷型45~59歳の働き盛り世代が最も幸福度が低いということも興味深い結果となっています。

 

そして⑦の趣味や生きがいがあると満足度が高いとの結果については、働き盛りの40~50代がいかにして仕事以外の趣味や生きがいを見つかられるかということは、幸福度にも直結していると考えられます。

 

またワークライフバランスの都市別ランキングでは、フィンランドの首都ヘルシンキが世界トップとなっており、またこれも北欧諸国が軒並み上位という結果となっています。

世界ワークライフバランス・ランキングに見る北欧・欧州とアジアの大きなギャップ | AMP[アンプ] - ビジネスインスピレーションメディア

 

デンマークでは中年期の幸福度が下がらない

日本など多くの国で若年期と高齢期の幸福度が高く、中年期には低くなる傾向にある一方で、幸福度ランキング上位国のデンマークでは、中年期の幸福度が下がらずにほぼ横一線になっている特徴があるようです。

 

その理由としては、子どもの教育費や親の介護費、家族の医療費などの経済的負担が少ないからと考えられています。

そして年金制度が充実しているので、老後の心配は少ないのも大きな安心感となっていると考えられています。

実際にコンサルティング会社「マーサー」が世界25カ国の年金制度の十分性や持続可能性などを評価した「グローバル年金指数ランキング2018年」で、デンマークはオランダに次ぐ2位となっています。

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まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. 国連の世界幸福度ランキング
  2. 20年の1位はフィンランドで3年連続
  3. フィンランドは社会支援と自由度が高い
  4. 日本は先進国では最低で年々順位を下げる
  5. 日本が低いのは自由度と寛容さ。主観評価は45〜59歳で低く、男女差が大きい。

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