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世界の都市総合力ランキング(2020年)~首位は9年連続でロンドン~

今回は2020年11月に発表された「世界の都市総合力ランキング(GPCI)」の最新ランキングです。

 

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シンクタンクの森記念財産研究所は、世界の主要48都市の総合力を評価する「世界の都市総合力ランキング(GPCI)」を毎年発表しています。

 

評価の内容は、「「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6分野について、それぞれ点数化して各都市の総合順位を算出したものになります。

 

GPCIの評価は、国際的な都市間競争において人や企業を惹きつける“磁力”は、その都市が有する総合的な力によって生み出されるという考えに基づき作成されたものです。

 

それでは2020年の都市総合力ランキングをご紹介いたします。

世界の都市総合力ランキング(2020年) 

順位 前回 都市名 国名 ポイント
1 (1) ロンドン イギリス 1661.1
2 (2) ニューヨーク アメリカ 1514.9
3 (3) 東京 日本 1386.5
4 (4) パリ フランス 1325.4
5 (5) シンガポール シンガポール 1262.1
6 (6) アムステルダム オランダ 1187.4
7 (8) ベルリン ドイツ 1185.4
8 (7) ソウル 韓国 1163.1
9 (9) 香港 中国 1149.7
10 (30) 上海 中国 1108.9
33 (29) 大阪 日本 954
43 (42) 福岡 日本 834

(出典:世界の都市総合力ランキング(GPCI) | 森記念財団 都市戦略研究所

 

上位の顔ぶれは変わらず。上海が10位に大躍進。

前回同様にトップ3都市の順位変動はなかったものの、偏差値の変動で比較すると1位のロンドン、2位のニューヨークが3位東京と4位パリを引き離す結果となりました。

さらに5位のシンガポールまでは2016年以来、順位の入れ替えこそあるものの、5か国の顔触れは変わっておりません。

 

7位のベルリンは経済や居住、環境の分野でスコアを伸ばし、ソウルと入れ替わりで順位を1つ上げました。

トップ10都市の中で昨年から唯一顔触れが変わったのが上海で、5つの分野でスコアを伸ばし、大きく躍進しました。

 

上位3都市(ロンドン、ニューヨーク、東京)の状況 

ロンドンが9年連続の首位

ロンドンは9年連続で1位となり、今年は偏差値でみると他の都市を大きく引き離す結果となりました。

 

環境を除く全分野においてトップ10入りをしており、特に「交通・アクセス」においては2つの指標で1位を維持したことに加えて、4指標において昨年からスコアを伸ばしております。

 

「経済」(2位)においては、同1位のニューヨークとの差をさらに広げられたものの、全体の総合力ではやはり安定した力をもっています。

特に、「文化・交流」は卓越した強みであり、全 16 指標中 13 指標でトップ 5 入りをしています。

一方で「居住」「環境」においては他の4分野と比べると低い順位となっています。

 

今後はEU 離脱による経済への影響やパンデミックによる観光業への打撃に対する政治的対応が今後の成長の鍵を握ると考えられます。  

 

ニューヨークは9年連続2位。経済の強さが牽引

1位ロンドンに追従するニューヨークは「経済」「研究・開発」は安定した強さを見せ、「経済」は 4 年連続で 1 位、「研究・開発」は12 年連続で 1 位となりました。

 

その一方、「居住」が弱みであり、特に『働き方の柔軟性』の低落により、昨年の 31 位から 33 位に順位を落としました。

 

格差社会や人種問題、そして選挙による社会的な分断が問題視される中、今後は新大統領の政権運営によって都市の居住環境がどのように変わるかが注目されます。

 

 

東京は5年連続の3位を維持。経済競争力には課題

東京の分野別順位(主要48都市中)

分野 順位 前年順位
経済 4 (4)
研究・開発 3 (3)
文化・交流 4 (4)
居住 12 (11)
環境 18 (23)
交通・アクセス 7 (8)

(出典:世界の都市総合力ランキング)

総合3位を維持した東京は、全分野において安定した結果となりました。

しかし、4位のパリと同様にスコアは伸び悩んでおり、1位ロンドン、2位ニューヨークとの差は拡大し、反対に5位シンガポールとの差は再び縮まってきております。

 

分野別では「環境」で新規指標である『1人あたり CO2 排出量の少なさ』と『都市空間の清潔さ』にて昨年より大きく順位をあげました。

また「交通・アクセス」では『国際貨物流通規模』でのスコア上昇により順位を1つ上げております。

パンデミックにより失われた人の交流や動きをどこまで戻すことができるのかが鍵と
なりそうです。

 

一方で、「経済」は 4 位を維持するも 5 位シンガポールに追い上げられており、スコア差はわずか 1.2 ポイント。特に『優秀な人材確保の容易性』でスコアを落としています。

 

そして順位を落とした分野の「居住」では、『働き方の柔軟性』や『社会の自由度・平等さ』でスコアを落としたことが要因となっています。

「研究・開発」においては、『学力の高さ』で順位を落としたものの、『特許登録件数』では高い順位を得ることができました。

 

ロンドン・ニューヨークと比較した東京の強み弱み

分野 東京が強い指標 東京が弱い指標
経済 世界トップ500企業 優秀な人材確保の容易性
研究・開発 特許登録件数 スタートアップ数
文化・交流 食事の魅力 ナイトライフ充実度
居住 小売店舗の多さ 社会の自由度・平等さ
環境 都市空間の清潔さ 緑地の充実度
交通・アクセス タクシー・自転車での移動のしやすさ 航空機の発着回数

 (出典:世界の都市総合力ランキング) 

 

東京のここ数年間の変化としては、2012年、2016年 と今年の結果を比較してみると、東京は過去 8 年間で「文化・交流」「交通・アクセス」でスコアを伸ばし続けてきました。

一方、かつては 1 位だった「経済」が 2020年 ではトップ 3 都市の中では最下位となっています。

 

 

まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. 「世界の都市総合力ランキング-2020」発表。今回も上位5か国は顔ぶれ変わらず。
  2. 9年連続首位のロンドンは居住と環境以外の4分野で高い評価を獲得。
  3. 総合2位のニューヨークは経済、研究開発が1位評価。居住が低い。
  4. 東京は5年連続3位となるもスコアは伸び悩み。ロンドン、ニューヨークとのスコア差が広がる。
  5. 東京の強みは経済、研究・開発、文化・交流の4分野。弱みは居住、環境分野。

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