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EV(電気自動車)生産ランキング~世界で脱ガソリン車が加速!!~

国内でのガソリン車の新車販売、2030年代半ばに禁止へ

12月3日、日本政府がガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止する方向で最終調整に入ったことが新聞等で報道されました。 自動車メーカーなどとの意見調整を経て10日に正式発表となる見込みです。

 

ガソリン車やディーゼル者など化石燃料自動車の販売禁止はすでに世界の大きな流れになっています。

これまで日本では、新車販売台数に占めるガソリン車の割合を「30年に30~50%」に引き下げる目標を打ち出していたものの、販売を禁止する時期は示しておらず、出遅れが指摘されていました。

 

今回の方針が正式に決定すれば、およそ15年後にはすべての新車をハイブリッド車や電気自動車といった「電動車」に転換することとなります。

これには、菅総理大臣が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという考えを示したことが背景にあるようです。

 

  

 今回はEV(電気自動車)の生産台数についての記事です。

 

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電動車の4タイプ

HV Hybrid ハイブリッドカー エンジンとモーターを組み合わせて走る プリウス、セレナ、
Vehicle フィットなど
PHEV・PHV Plug-in プラグインハイブリッドカー 外部からの充電が可能なハイブリッドカー トヨタ プリウスPHV、
Hybrid 三菱 アウトランダーPHEV
Vehicle
FCV Fuel 燃料電池車 水素と酸素の化学反応から電力を作り、モーターで走る トヨタ MIRAI、
Cell
Vehicl ホンダ クラリティ FUEL CELL
EV Electric 電気自動車 電気をエネルギーとして、モーターで走る 日産 リーフ、
Vehicle テスラ

(出典:MOBY) 

 

世界で脱ガソリン車が加速

近年世界中で、地球温暖化などの環境問題への対策として、脱炭素社会につながる「ガソリン車/ディーゼル車の販売禁止」が検討されています。

欧州の一部や北米の一部(加ケベック州、米カリフォルニア州)、中国などでは2030年から2040年に電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)以外のクルマの販売が出来ないという方針をすでに打ち出しています。

 

今回、日本でも”2030年代の半ばまでにガソリン車の新車販売を禁止する”ということになれば、世界の脱ガソリン車が更に加速することになります。

アメリカにおいては、温室効果ガスの排出削減に否定的だったトランプ大統領がパリ協定を離脱しましたが、バイデン氏の就任によって再度協定へ復帰することが確実となっています。

これによって、米国でも脱ガソリン車が今後一層進むことも予想されます。

 

 

それでは2020年上半期の国別EV生産台数ランキングです。

EV生産台数世界ランキングTOP5(2020年上半期)

順位 国名 世界シェア
1 中国 38.4%
2 米国 23.1%
3 韓国 8.5%
4 フランス 6.7%
5 ドイツ 6.4%
9 日本 2.3%

(出典:日本経済新聞)

 

EV生産で先行する中国

中国の自動車販売数は、2019年に2100万台を突破し、この20年間で約10倍以上の伸びを示しています。

いまや世界最大の自動車市場を形成している中国ですが、その一方でCO2の排出量が増大し環境問題が深刻化しました。

 

そこで中国政府は、規制によって自動車の電動化(EV)シフトをはかり、普及に向けた「新エネルギー車(NEV)規制」によって自動車のEV化、PHV化、FCV化を強力に推し進めています。

この中国政府の強力なNEV推進の背景には、環境対策に加えてもう一つ、エンジン車ではどう頑張っても日米欧には追い付けないが、電動車なら可能性があるという目論見もあるようです。

 

 英LMCオートモーティブの発表では、2020年上半期の世界のEV生産台数66万台のうち、25万台が中国での生産となっており、EV世界生産の約4割を占める結果となりました。

これは中国メーカーによる生産台数以外にも、欧州や米国メーカーの中国拠点での生産も含まれています。中国政府は外資系メーカーがNEV規制に対応するため、部品や車両工場を建てやすいように、規制緩和を行って国内に呼び込んでいます。

 

一方の日本は2019年の販売台数(見込み)でHVが123万台、PHEV3万台、EV4万台と現状では圧倒的にHV販売台数が多く、北米や欧州をも大幅に上回っている状況です。

 

HV対EV・・現状はHV優位も将来はEVが主流に

HVでは世界に先行している日本ですが、今後HVとEVの構図はどのようになっていくのでしょうか?

富士経済の試算によると、日本は非ガソリン車の中でHVが90%以上を占めており、今後EVやPHEVの販売も堅調に推移するが、今後もHV中心の構図が続くとしています。

実際に今回の”2030年代半ばまでのガソリン車の販売を中止”の方針においても、販売中止対称はあくまで既存のガソリン車であり、HV車は販売中止には含まれておりません。

 

一方欧州では、HVの普及が先行しているものの、2021年ごろからEVが急速に普及するようです。欧州におけるEVやPHEVの市場は堅調の反面、今後HVは伸び悩むと予想しています。

イギリスにおいては2030年までにガソリン車およびディーゼル車の新車販売を中止すると発表しています。更にHV車については、CO2排出をゼロにしたもの以外は35年までに販売を禁止と発表しており、一気にEV化が進んでいくものと思われます。

 

北米も現在はHVの普及が先行していますが、2018年はEVの販売が前年比2.4倍の26万台となりました。当面はHVが中心ではあるものの、長期的にはEVが北米市場をけん引するとしています。

このように、中国のみならず欧州や北米でもEVにシフト化されていくことが予想されています。

 

自動車産業が日米欧から中国を軸への勢力図変化も

今後EVシフトが更に加速することよって、日本の基幹産業である自動車の輸出、生産にも影響が出る可能性があります。

米国や欧州などこれまで自動車産業の中心であった国々も同様です。

 

実際に日産自動車は21年より、武漢市の新生産拠点で東風汽車集団と合弁で新型EV「アリア」を生産することを発表しており、トヨタ自動車も天津市、広州市でEVなどの電動自動車を生産する新工場を建設中です

 

独BMWは現在中国工場で生産している新型EV「ix3」を欧州にも輸出すると発表しており、米テスラも上海工場で生産した「モデル3」を10月より欧州にも輸出開始しました。 

このようにEVが今後の主流になってくると、各メーカーは生産拠点を中国を中心にしていくことになります。

その結果、自動車産業の中心地が日米欧から中国に移っていくこと可能性もあり得ます。

 

自動車業界は100年に一度の大転換時代には官民一体が不可欠

現在、自動車業界は「100年に1度」とも呼ばれる大変革期の真っ直中にあります。

日本の自動車産業も国際競争力を更に強めていかなければ、約3割もの世界シェアを落としてしまうことになります。

 

政府としてもそうした危機感を日本の自動車メーカー全体で共有し、官民一体で競争力を引き上げていく必要性を感じているようです。

官民一体で行うメリットとしては、全固体電池など新しい電池に関する基礎技術開発、充電やリサイクルなどのインフラ構築に向けた協力や、低炭素化に向けたエネルギー政策などとの連携が取れることにあります。

結果として、世界全体の自動車技術革新で日本がリーダーシップを発揮するという青写真を描いているようです。

 

 

一方、欧州の自動車業界でも、メーカーのほか、国、大学も合わせて、産官学提携で横串の通った車づくりが進められてきました。たとえば自動運転車の開発を各社共同で進める「ペガサス」と呼ばれるプロジェクトが進行しています。

 

究極のエコカー”燃料電池車(FCV)”

最後に燃料電池車(FCV)についてですが、FCVは”究極のエコカー”とも呼ばれています。

水素と酸素から電気を作り出す燃料電池技術は、発電過程でCO2を全く出さないという大きな特徴があります。車から排出されるのは水だけです。

そして、原料の水素は水の電気分解、ガス、石油、バイオマスなどさまざまな素材から作れることも特徴です。

燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)の決定的な違いとして、燃料電池車は燃料電池を、電気自動車は蓄電池を搭載しているということです。

 

燃料電池は電力を自ら発電できますが、蓄電池には発電する機能はありません。その名の通り電力を蓄えておき、それを用いてモーターを動かすため定期的に充電する必要があります。

また電気自動車は直接的にはクリーンと言えますが、充電で電力会社から供給された電気を使うということは、実は間接的に化石燃料を使用しているともいえます。

というのも、2019年度の日本国内におけるエネルギー構成(電源構成)では火力エネルギー比率は74.8%と依然と高い割合であるからです。

再生可能エネルギー比率ランキング~今後のエネルギーの本命は?~ - Shoko-Ranking

このようなことから、電気自動車も間接的にはCO2などの温室効果ガスを排出することに繋がっております。

 

燃料電池においても、水素を作り出す際に化石燃料から作る場合には、確かにCO2が排出されますが、海外で実用化されているCO2を地中に貯蔵する技術「CCS」と組み合わせることで、実質、二酸化炭素排出ゼロにすることができます。

このような特徴から水素発電は環境面において非常に優位性があります。

よって、水素発電は「究極のクリーンエネルギー」と言われ、それを応用した燃料電池車が”究極のエコカー”と呼ばれるゆえんになっています。

 

さらに燃料電池が電気自動車に勝るメリットは、航続距離の違いです。

電気自動車が400kmほどなのに対し燃料電池車は約650kmから750kmほど走行可能となっています。 

燃料の補給にかかる時間も燃料電池車はガソリンと同じように短時間(約3分)で補給できますが、電気自動車では電力が0%の状態からフル充電する場合、家庭用充電では一晩ほどかかります。(急速充電ができるものでも約10分~1時間くらい)

 

燃料電池車普及の課題 

ただし普及には大きな解決する問題もあります。

一つには水素ステーションの設置数の少なさです。現在全国で112か所しかありません。県によっては1か所もない場所もあります。

FCCJ 燃料電池実用化推進協議会 - 商用水素ステーションの普及状況

設置コストも高く、一基あたり数億円の費用がかかることもネックとされています。

とはいえ、水素ステーションの増設が進まなければ販売台数増も見込めないため、今後ステーションのインフラ設備が普及への最大のカギになると考えられます。

 

二つ目は車両価格の問題です。燃料電池は製造コストが高いために、車両価格自体が高くなっています。

トヨタのMIRAIもホンダのクラリティFUEL CELLも車車両価格は700万円を超えております。

ただし、国からの補助金が最大225万円まで設定されていて、更には自治体からも補助金がもらえる地域もあるため、双方うまく活用できれば購入ハードルは大分下がりそうです。

 

<2020年12月新型MIRAI発売>

bestcarweb.jp

 

 

まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. 日本国内でのガソリン車の新車販売は2030年代半ばに禁止へ
  2. 環境問題から世界中で脱ガソリン車が加速
  3. EV生産では中国が世界の4割を占める
  4. 現在はHV優位も将来的にはEVへシフトへ、中国が世界の自動車産業の中心に?
  5. 自動車業界は100年に一度の大転換時代の真っただ中。官民連携が不可欠に
  6. 燃料電池車(FCV)は究極のエコカー。水素ステーションの普及がカギ

 


 

 

 

 

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