世界の人口はアジアやアフリカなどの新興地域では増加する一方、先進国では出生率の低下から今後は人口減少が予測されています。
今回は国連が発表している世界人口見通し(2019年改訂版)から国別人口ランキングをご紹介いたします。
世界の人口ランキングTOP10
順位 | 国名 | 人口 | 5年平均増減率 |
---|---|---|---|
1 | 中国 | 14.34億人 | 0.46% |
2 | インド | 13.66億人 | 1.40% |
3 | アメリカ | 3.29億人 | 0.62% |
4 | インドネシア | 2.71億人 | 1.14% |
5 | パキスタン | 2.17億人 | 2.05% |
6 | ブラジル | 2.11億人 | 0.78% |
7 | ナイジェリア | 1.19億人 | 2.59% |
8 | バングラディッシュ | 1.63億人 | 1.05% |
9 | ロシア | 1.46億人 | 0.13% |
10 | メキシコ | 1.28億人 | 113% |
(11) | 日本 | 1.27億人 | 0.24% |
(参考:国連「World Population Prospects :The 2019 Revision」)
各地域別の状況
日本
世界人口ランキングでついにTOP10から陥落した日本ですが、人口は2009年をピークに現在まで減少し続けております。
2015年~2020年までの5年平均の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は1.37と低い水準です。20年の出生数見込みも84.7万人の見通しとなっていて、1974年以来続く出生数減少の流れは止められていません。
加えて2020年のコロナ禍により、婚姻数の下振れも招いています。
予測では2020年の婚姻数は▲16.2%の大幅減となる見込みで、それによって2021年以降の出生数のさらなる減少要因に繋がることが懸念されています。
アジア
中国では1970年代からの一人っ子政策が、人口抑制効果としては成功したものの、少子高齢化の原因となっています。
この施策は2016年には廃止されたものの、2018年の出生率は前年比200万人減の1523万人となり、57年ぶりの低水準となりました。
2030年頃には中国も人口減少に転じると予測されています。
一方、これまで不動の1位を続けてきた中国に対して、インドの人口増加率はそれを上回っており、すでに両国の差は7000万人弱まで接近しております。
2027年頃にはインドが中国を抜き世界1位になると予測されています。
また、韓国においては出生数は前年より3万人減少し、過去最少となりました。2015年から2020年までの5年平均では合計特殊出生率が1.11と世界最低水準になっています。
要因としては経済格差の拡大で結婚や出産をあきらめる若者が急増していることが考えられます。
他にも、台湾やシンガポール、マカオなどでも出生率の低下が深刻化しております。
実際に台湾は2020年から人口減少に転じ、シンガポールでは日本以上に急速な高齢化が進行していると言われています。
アメリカ
アメリカは2015年~20年までの平均人口増加率は0.62%と増加を続けています。
その最大の理由は世界最大の移民受け入れ国としての移住者増です。しかし、トランプ政権の不法移民抑制策によって、アメリカへの国際移住者は前年比10万人減となるなど鈍化傾向がみられます。
さらに出生数から死亡者数を引いた自然増加数も対前年で減少しており、人口増加率は2015年をピークに4年連続で低下し、こちらも鈍化傾向にあります。
国連によると2050年頃にはアメリカの人口はナイジェリアに抜かれると予測しています。
ヨーロッパ
ヨーロッパにおいて、特に 東ヨーロッパ諸国は総じて人口減少傾向にあります。
2015年から2020年にかけての人口増加率がマイナスになる国が12か国もあります。
これらの国では出生率の低下に加えて、移民として他国に流出する人が後をたたないことが背景にあります。
逆にドイツでは総人口に占める移民の割合が大きく増加しており、2040年頃には移民割合が35~40%まで増えると予想されています。
一方フランスでは、比較的早い段階から少子化対策に取り組んでおり、90年代後半には1.73だった合計特殊出生率が、2015年~20年までの5年平均で1.85まで上昇しています。
アフリカ
アフリカで今後人口が増加するのは、サハラ砂漠以南の地域と予想されています。
2050年ころには20億人を超えると推定され、この地域の国々は5%前後の経済成長を続けています。
その一方、深刻な貧困・飢餓の問題も抱えています。
ナイジェリアは2050年には人口4億人に達し、アメリカを超えると予測されています。出生率も5.53と極めて高い水準です。
一方でナイジェリアは世界で最も貧困者の数が多い国にもなっております。
1日当たりの生活費が1.90ドル(約200円)未満で暮らす絶対的貧困(=国際貧困ラインを下回る極度の貧困状態)にある人の数は、8700万人にものぼるとされております。
アフリカ諸国の出生率は、アジアやヨーロッパ各国の出生率が低位で推移しているのとは対照的に高止まりが続いております。
アフリカで出生率が非常に高いのは、労働力確保のためと乳幼児の死亡率が高いことが理由としてあげられます。
合計特殊出生率TOP5(2015年から2020年までの年平均)
順位 | 国名 | 合計特殊出生率 |
---|---|---|
1 | ニジェール | 6.95 |
2 | ソマリア | 6.12 |
3 | コンゴ民主共和国 | 5.96 |
4 | マリ | 5.92 |
5 | チャド | 5.80 |
(参考:国連「World Population Prospects :The 2019 Revision」)
また国連では2020年から2100年までの人口増加率を予測しておりますが、こちらも上位10か国はすべてアフリカ諸国となっています。
人口増加率予測TOP10(2020年から2100年まで)
順位 | 国名 | 人口増加率 |
---|---|---|
1 | ニジェール | 581% |
2 | タンザニア | 378% |
3 | ザンビア | 344% |
4 | コンゴ民主共和国 | 304% |
5 | モザンビーク | 296% |
6 | ナイジェリア | 256% |
7 | スーダン | 225% |
8 | ウガンダ | 199% |
9 | エチオピア | 156% |
10 | ケニア | 133% |
(参考:国連「World Population Prospects :The 2019 Revision」)
将来の人口予測
2050年人口予測
順位 | 国名 | 人口 |
---|---|---|
1 | インド | 16.39億人 |
2 | 中国 | 14.02億人 |
3 | ナイジェリア | 4.01億人 |
4 | アメリカ | 3.79億人 |
5 | パキスタン | 3.38億人 |
6 | インドネシア | 3.31億人 |
7 | ブラジル | 2.29億人 |
8 | エチオピア | 2.05億人 |
9 | コンゴ民主共和国 | 1.94億人 |
10 | バングラディッシュ | 1.93億人 |
- | 日本 | 1.06億人 |
2100年人口予測
順位 | 国名 | 人口 |
---|---|---|
1 | インド | 14.47億人 |
2 | 中国 | 10.65億人 |
3 | ナイジェリア | 7.33億人 |
4 | アメリカ | 4.34億人 |
5 | パキスタン | 4.03億人 |
6 | コンゴ民主共和国 | 3.62億人 |
7 | インドネシア | 3.21億人 |
8 | エチオピア | 2.94億人 |
9 | タンザニア | 2.86億人 |
10 | エジプト | 2.25億人 |
- | 日本 | 0.75億人 |
(参考:国連「World Population Prospects :The 2019 Revision」)
2100年の世界人口予測
国連の推計では、世界の人口は22世紀に入る2100年ころには増加がほぼ止まり、ピークアウトするとみられています。
2100年の人口はおよそ108億人で増加率は0.04%とゼロ成長に近くなると予測されます。(別の推計では88億人と予測する研究もあります。)
この頃には世界のおよそ6割の国と地域で人口が減少すると予測され、なかでも日本や中国などの東アジアでは現在と比べて人口が大きく減少すると予測されています。
2100年の日本の人口予測は7500万人と試算されています。
そして、人口増の鈍化と共に進むのが高齢化で、2050年には6人に1人が、2100年には4.5人に1人が65歳以上の高齢者となります。
年齢構成の若く出生率の高いアフリカ大陸などでも例外なく高齢化が進み、まさに世界全体が超高齢化社会に突入するこことなります。
まとめ
- 世界の人口ランキングは中国が首位。2位のインドが700万人差に迫る。
- 日本の人口は2009年をピークに減少中、出生数の減少も続く。
- 2027年に世界の人口1位はインドへ。2050年にナイジェリアがアメリカを抜き3位へ。
- 東アジア、ヨーロッパの国では出生率の低下が共通の課題に。
- アフリカでは出生率が高止まり。世界の人口増加率TOP10はすべてアフリカ。