今回はODAについてのランキングです。
かつて日本は世界一のODA供与国(1989年、1991年~2000年)でしたが、現在の状況はどのように変わっているのか調べてみました。
ODAとは政府開発援助(Official Development Assistance:ODA)の略です。
開発途上国の社会・経済の開発を支援するため、政府をはじめ、国際機関、NGO、民間企業などさまざまな組織や団体が経済協力を行っています。
これらの経済協力のうち、政府が開発途上国に行う資金や技術の協力をODAといいます。
ODAは二国間援助と多国間援助(国際機関への出資・拠出)に分けられます。
二国間援助は「技術協力」「有償資金協力」「無償資金協力」の3つの手法と、ボランティア派遣など「その他」の方法で実施されます。
DAC(経済協力開発機構)・・OECD(経済協力開発機構)の下部機関として1961年に設立。
開発援助に関連するあらゆる問題について討議、検討を行う委員会。
OECD加盟国36カ国のうち29カ国と欧州連合(EU)により構成される。
ODA供与額ランキング(DAC諸国・2018年)
順位 | 国名 | 実績額(億ドル) | 前年順位 |
---|---|---|---|
1 | 米国 | 342 | 1 |
2 | ドイツ | 250 | 2 |
3 | 英国 | 194 | 3 |
4 | 日本 | 142 | 4 |
5 | フランス | 121 | 5 |
6 | スウェーデン | 59 | 7 |
7 | オランダ | 57 | 8 |
8 | イタリア | 52 | 6 |
9 | カナダ | 47 | 9 |
10 | ノルウェー | 43 | 10 |
- | DACメンバー国計 | 15,328 |
(出所:「2019年版開発協力白書」を基に作成)
こちらのランキングはいわゆる金額ベースになりますので、国の経済規模が大きいほど上位に入りやすいという傾向はあります。
ちなみに中国はDACに加盟していないため上記ランキングには入っておりません。
日本経団連によると中国の対外援助額は2016年実績は66億円で世界第7位だったとのことです。
中国の対外援助の現状と課題 (2019年1月31日 No.3394) | 週刊 経団連タイムス
一方で、次のランキングはODA供与額をその国のGNI(国民総所得)比で算出したものです。
ODAの対国民総所得(GNI)比(DAC諸国・2018年)
順位 | 国名 | GNI比 |
---|---|---|
1 | スウェーデン | 1.04% |
2 | ルクセンブルク | 0.98% |
3 | ノルウェー | 0.94% |
4 | デンマーク | 0.72% |
5 | 英国 | 0.70% |
6 | オランダ | 0.62% |
7 | ドイツ | 0.61% |
8 | スイス | 0.44% |
9 | ベルギー | 0.43% |
10 | フランス | 0.43% |
11 | フィンランド | 0.36% |
12 | アイルランド | 0.31% |
13 | アイスランド | 0.28% |
14 | ニュージーランド | 0.28% |
15 | カナダ | 0.28% |
16 | 日本 | 0.28% |
17 | オーストリア | 0.26% |
18 | イタリア | 0.25% |
19 | オーストラリア | 0.23% |
20 | ハンガリー | 0.21% |
21 | スペイン | 0.20% |
22 | ポルトガル | 0.18% |
23 | 米国 | 0.16% |
24 | スロベニア | 0.16% |
25 | 韓国 | 0.14% |
26 | ポーランド | 0.14% |
27 | ギリシャ | 0.13% |
28 | チェコ | 0.13% |
29 | スロバキア | 0.13% |
(出所:「2019年版開発協力白書」を基に作成)
国ごとの貢献度を考えたときに、供与額より重視される指標が対GNI比の割合となります。
経済規模は国ごとに大きくことなるため、むしろこちらの指標の方が公平な物差しともいえます。
対GNIのランキングで見た時には、供与額1位のアメリカは23位であり、経済規模からみた時の負担率はそこまで高くないことがわかります。
また日本においても0.28%の16位となり、額ランキングから順位は大きく下がります。
上位国の傾向として、この分野でも北欧諸国の高さが目につきます。
北欧諸国と言えば税率が高いことでも有名ですが、自国の福祉のみならず他国への負担も高いということになります。
日本も決して負担が低いというわけではありませんが、国民一人当たり換算のODA供与額で比較するとその差は非常に大きいことがわかります。
以下に国民一人当たりの負担額ランキングです。
国民一人当たりODA負担額ランキング
順位 | 国・地域名 | 国民1人当たり負担額 |
---|---|---|
1 | ノルウェー | 798.8 |
2 | ルクセンブルク | 776 |
3 | スウェーデン | 571.7 |
4 | デンマーク | 445.8 |
5 | スイス | 363.1 |
6 | オランダ | 327.1 |
7 | ドイツ | 300.9 |
8 | イギリス | 292.3 |
9 | アイスランド | 212 |
10 | ベルギー | 202.4 |
11 | アイルランド | 192.2 |
12 | フランス | 181.2 |
13 | フィンランド | 178.3 |
14 | オーストリア | 132.4 |
15 | カナダ | 1251 |
16 | オーストラリア | 124 |
17 | ニュージーランド | 113.7 |
18 | 日本 | 112 |
19 | 米国 | 104.4 |
20 | イタリア | 85.9 |
(出所:「2019年版開発協力白書」を基に作成)
上記ランキングで1位のノルウェーの国民一人あたりのODA負担額では、日本のおよぞ7倍もの金額を拠出しています。
過去のランキングデータから、国民一人当たりGNIの額は年間8.1万ドルとなっていて、4.1万ドルの日本のおよそ2倍となっています。
これはGNIの差を考慮しても非常に高い負担額ということがわかります。
続いては日本のODAがどの地域に供与されているかを外務省の資料から見てみました。
日本の二国間ODAの地域別配分
国名 |
配分 |
---|---|
アジア |
56.5% |
中東・北アフリカ |
12.7% |
サブサハラ・アフリカ |
10.0% |
中南米 |
3.4% |
大洋州 |
1.6% |
欧州 |
0.6% |
複数地域にまたがる援助等 |
15.20% |
(出所:「2019年版開発協力白書」を基に作成)
上記は日本の二国間ODAにおける地域別配分です。ニ国間での供与はやはりアジアへの供与がもっとも多く、全体の半分以上を占めています。
続いて中東北アフリカ、そしてサブサハラ(サハラ以南)・アフリカと続きます。
日本の二国間ODAの国別供与額ランキングTop5(2018年支出純額)
順位 | 国名 | 支出純額(百万ドル) |
---|---|---|
1 | インド | 1375.4 |
2 | バングラディシュ | 1179.28 |
3 | ミャンマー | 536.9 |
4 | イラク | 474.17 |
5 | ベトナム | 203.75 |
(出所:「2019年版開発協力白書」を基に作成)
さらに国別ではインドが最も多く、次いでバングラディッシュでこの2国への供与が突出しています。
ついでミャンマー、イラク、ベトナムと続いています。
続いて日本のODAがどのような分野に対して使われているかを順次付けしたものです。
【参考】日本のODAの供与分野
順位 | 分野 | 構成比 |
---|---|---|
1 | 経済インフラ及びサービス | 57.32 |
2 | 社会インフラ及びサービス | 15.77 |
3 | 行政経費等 | 9.02 |
4 | 生産セクター | 7.53 |
5 | マルチセクター援助 | 5.05 |
(出所:「2019年版開発協力白書」を基に作成)
以上、今回はODAについて調べてみましたが、ODAも実は良い面ばかりではなく多くの課題もあるようです。
中でも懸念されるのが汚職等です。途上国への資金援助が当該国において汚職や腐敗に繋がっているとの指摘は常に問題になっています。
まとめ
- DAC加盟国でのODAランキングにおける供与額の1位は米国、日本は4位
- 対GNI比での1位はスウェーデン、日本は16位
- 国民一人当たりでは1位はノルウェー、日本は18位
- 日本のODA供与先エリアはアジアが半数以上を占める
- 日本の国別二国間ODA供与先の1位はインド