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ロケット打ち上げ成功率ランキング~2001年以降は日本がトップ!~

7月20日、日本のH-2Aロケットがアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「Hope」を搭載して、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。

その後予定通り分離され、見事41回目の打ち上げ成功となりました。

 

H-2Aロケット

宇宙開発事業団(NASDA) とその後継の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工が開発し、三菱重工が製造及び打ち上げを行う人工衛星打ち上げ用ロケット

打ち上げに三菱重工を選んだ理由について、Hopeのプロジェクトリーダーのシャラフ氏は「三菱重工のロケットは他社と比べ、信頼性(打ち上げ成功率)や価格面など総合的に最も優れていた」と語りました。

 

 

ロケット打ち上げ

 

2016年までのデータではありますが、国別のロケット成功率の一覧がありましたので、ランキングにしてご紹介いたします。 

 ロケット打ち上げ成功率ランキング(1990年~2016年)

 

- 国・地域 打ち上げ回数 内成功数 成功率
1 欧州 219 212 97%
2 ロシア 671 639 95%
3 中国 220 208 95%
4 米国 551 520 94%
5 日本 58 53 91%
6 インド 49 43 88%
7 イスラエル 10 8 80%

(出所:The PAGE)

 

これが21世紀(2001年)以降の実績で集計すると日本の成功率が大幅にあがっていきます。

日本のロケット打ち上げ成功率は98%、30回連続で成功 ── 12月9日に注目(THE PAGE) - Yahoo!ニュース

 

ロケット打ち上げ成功率ランキング2001年~2016年

 

- 国・地域 打ち上げ回数 内成功回数 成功率
1 日本 40 39 98%
2 欧州 116 113 97%
3 中国 176 171 97%
4 米国 266 255 96%
5 ロシア 304 288 95%
6 インド 42 39 93%
7 イスラエル 6 5 83%

 (出所:The PAGE)

 

日本のH-2Aロケットは98%の打ち上げ成功率!

冒頭のUAEの火星探査機のHopeが三菱重工のH-2A型ロケットを選んだ理由として、打ち上げ成功率の高さ(信頼性)を第一の理由にあげていました。

 

上記ランキングでは2001年~2016年の集計ですが、40回中39回の成功で98%の成功率となっています。

この集計時期の打ち上げは三菱重工のロケット(H-2A、H-2B)によるものとIHIエアロスペースのロケット(MV、イプロシン)によるものと推測できますが、いずれも高い成功率を誇っています。

H-2A型ロケットに関していえば、これまで42回打ち上げて41回成功しています(成功率:98%

また更に性能をアップさせたH-2B型は9回の打ち上げすべて成功(100%)しており、両モデルともに確固たる信頼性を世界にアピールできたと言えます。

しかしながらH-2B型ロケットは20年5月の打ち上げをもって引退となりました。

三菱重工は今後の主力ロケットとしてH-3型ロケットの打ち上げを来年春にも目指していると発表しています。

現在世界のロケット競争は激しくなっていて、日本のロケットもアメリカや欧州などの強豪メーカーに対しての強みをアピールしていかなければなりません。


 

欧米ロケット開発「アリアンスペース」と「スペースX」

現在、ロケットによる静止衛星打ち上げ数で世界トップの欧州のアリアンスペース社は高い成功率を誇っており、主力のアリアン5の打ち上げ成功率は99%となっています。

打ち上げ数でアリアンスペース社を追いかけるのがアメリカのスペースX社で、アリアンスペース社に迫る受注数を獲得しています。

スペースXのファルコン9はアリアン5に信頼性では劣るものの、価格がアリアン5の半分以下と非常にリーズナブルであり、今後打ち上げシェアは更に肉薄すると考えられています。

 

そこで、アリアンスペースは価格を現行モデルの6割程度に抑えた新型ロケット「アリアン6」を上市することを表明しています。

アリアンスペース社のCEOを務めるステファン・イスラエル氏によると、今後打ち上げられるアリアン 6ロケットは、4年後には月へのライドシェア・ミッションを行うとのことです。

「我々は2023年までに、アリアン 6による月への最初のライドシェアミッションを提供する予定で、政府や民間の顧客を検討している」 と語っています。

 

一方のスペースXも超大型ロケットの「スターシップ」を開発中です。これはブースター部の「スーパーヘビー」と組み合わせた再使用型の宇宙船ロケットで全長50m、直径9mという前代未聞の大型サイズです。

そしてこのスターシップは100トン以上の輸送能力を持ち、月や火星への飛行も視野に入れた開発が進められています。

 

同社のイーロン・マスク氏はかねてより火星への有人基地人類移住計画を表明しており、その実現のためにはより大型な宇宙船が必須であると考えているようです。

そして2023年にはこのスターシップにて民間初の月への周回旅行が計画されており、日本の前澤友作氏が乗船を予定しています。

世界のロケット打ち上げ数ランキング~再び宇宙開発競争の時代へ~ - Shoko-Ranking

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 「スターシップ」想像図

 

日本の新型H-3型ロケット 

日本の次世代ロケットとしては、25年ぶりにフルモデルチェンジとなる新型のH3ロケットを開発しています。

JAXA宇宙輸送技術部門H3プロジェクトチームの岡田匡史プロジェクトマネージャーは次のように語っています。

「一つは、いつでも日本独自のロケットで宇宙にアクセスできるという宇宙開発における自立性を確保すること。このためには、 ロケット打ち上げ事業の産業基盤を維持・発展させていくことと、ロケット技術を未来に伝えることが重要です。」

また、岡田プロジェクトマネージャは、「国際競争力のあるロケットを開発すること」をもう一つの重要な点としてあげています。

H3ロケットでは打ち上げ頻度を増やし、さらにロケットのコストを下げて年に6回程度の打ち上げを目指しています。

そのうちの半分で従来通り政府やJAXAの人工衛星などの打ち上げを行い、残りを民間企業の人工衛星の打ち上げを担う商業利用に活用する予定です。

そして2021年に第1回目の打ち上げを予定しています。 

H-型

H3型以外にも、JAXAとIHIエアロスペースは小型衛生打ち上げ用ロケット「イプロシン」の後継機種として「イプロシンS」の開発を2020年度よりスタートさせました。

H3型と構成要素を共通化することで低コスト化を目指しています。

イプロシンS初号機の打ち上げは2023年に計画されています。

 

まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. 国別ロケット打ち上げ成功率は1990~2016年の期間で日本は5位。
  2. 2001年~2016年の期間では日本が1位に。H-2型ロケットは98%の高い成功率
  3. ロケット打ち上げ数の世界トップは欧州のアリアンスペース。アメリカのスペースXがそれ追いかけている。
  4. 日本は25年ぶりの新型となるH-3型ロケットを2021年投入予定。

 

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