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森林面積増減率ランキング~森林減少率は縮小。森林火災は大規模化~

世界森林資源評価(FRA2020)発表

国際連合食糧農業機関(FAO=Food and Agriculture Organization of the United Nations)は5年ぶりとなる詳細な世界森林資源評価(FRA2020)を発表しました。

世界の森林面積は地球のほぼ3分の1の土地を占めていると推計されています。

これは面積にして40.6億ha(ヘクタール)で、地球上のすべての人に1人あたり約0.52ヘクタールの森林がある計算になります。

森林はたくさんの生物のすみかになったり、水をたくわえ酸素を作り地球の肺になるという重要な役割を果たしています。 しかし、アフリカ、中南米、東南アジアの熱帯雨林は猛烈なスピードで減少しています。

 

この熱帯雨林の消滅に伴う種の絶滅はとても深刻な問題です。それは熱帯地方には地球上の全生物種の約8割が住んでいると考えられているからです。

 

一方で1990年~2000年の間の森林の減少は年間780万ha(ヘクタール)でしたが、2010年~2020年では年平均470万haとなっており森林減少は縮小傾向にあります。

これは危機意識の高まりがその背景にあるとされています。

今回は世界の森林の増減面積ランキングです。 

 

森林

世界の森林の半分以上(54%)は、ロシア連邦、ブラジル、カナダ、アメリカ合衆国、中国の5か国によって構成されています。

以下にその面積の割合をランキングで示します。  

世界の森林面Top5

国名 森林面積(ha) シェア
1 ロシア 8億1500万 20%
2 ブラジル 4億9700万 12%
3 カナダ 3億4700万 9%
4 アメリカ 3億1000万 8%
5 中国 2億2000万 5%
- その他 1億87000万 46%

 (出所:Global Rorest Resources Assessment 2020

  

森林の中でも特に植林以外の原生林としては、世界には少なくとも11億1,000万haがあります。

また森林の天然林と人工林との割合は、天然林が93%に対し人口林が7%と推定されています。

そして原生林のシェアとしてはブラジル、カナダ、ロシア連邦の3か国が高く、世界の61%が占められています。

 

2010年~2020年では年平均470万haの森林面積が減少したと先に述べましたが、続いては国別の森林面積の増加および減少のランキングです。

森林の増加面積Top10 (2010~2020年)

順位

国名

万ha/年

1

中国

193.7

0.93

2

オーストラリア

44.6

0.34

3

インド

26.6

0.38

4

チリ

14.9

0.85

5

ベトナム

12.6

0.9

6

トルコ

11.4

0.53

7

米国

10.8

0.03

8

フランス

8.3

0.5

9

イタリア

5.4

0.58

10

ルーマニア

4.1

0.62

  (出所:Global Rorest Resources Assessment 2020

 

中国は砂漠化対策として植林を実施

増加面積1位の中国ですが、さまざまな要因によって北西部を中心に砂漠化が長期に進行し、国土の27%が砂漠化するという大変深刻な問題になっています。

これまでに砂漠化した土地を取り戻すには300年かかると言われています。

2001年に中国政府は「防沙治沙法(防砂治砂法)」を制定し、自然保護区を確保し植林を実施しました。これは砂漠化防止土壌水質保全などを目的としたものです。

政府の対策によって近年砂漠化面積は減少に転じ始めています、

しかし、全体の砂漠面積はいまだに広く黄砂など周辺国への環境への影響の大きさからも、今後さらに植林などの対策を加速させる必要がある状況です。 

 

 

森林の減少面積Top10(2010~2020年)

順位 国名 万ha/年
1 ブラジル -149.6 -0.3
2 コンゴ民主共和国 -110.1 -0.83
3 インドネシア -75.3 -0.78
4 アンゴラ -55.5 -0.8
5 タンザニア -42.1 -0.88
6 パラグアイ -34.7 -1.93
7 ミャンマー -29.7 -0.96
8 カンボジア -25.2 -2.68
9 ボリビア -22.5 -0.43
10 モザンビーク -22.3 -0.59

 (出所:Global Rorest Resources Assessment 2020

 

ブラジルでは違法伐採、牧場開発と火災で消失

2010年~2020年の10年間で最も森林面積が減少した国はブラジルです。

森林減少の主な理由は、農地の拡大牧場の開発不法な森林伐採などによる森林破壊が原因です。

アマゾン開発は1940年代に計画され60年代からは道路などの開発が本格化し、それが畜肉用の牧場開発によって更に加速していきました。

アマゾンの森林火災はボルソナロ大統領が就任して以降に急増しており、2019年は8月までで7万4千件以上の森林火災が発生しており、前年同時期の83%増と観測史上最多となっています。

ボルソナロ政権は環境保全より、農地開発を優先し、野焼きや違法伐採を認めたことで、無計画な森林伐採が横行し熱帯雨林であるはずの森林の乾燥が進みました。

その結果、本来なら湿度が高くそれほど延焼しないはず森林火災があっという間に広がっていくという負のサイクルが起こっています。

アマゾンの破壊の現状 | 特定非営利活動法人 熱帯森林保護団体(RFJ)

 

森林火災の深刻な影響

近年世界の森林面積減少は鈍化傾向にありましたが、南米アマゾンでは気候変動による干ばつや温暖化によって森林火災が大規模化しやすくなっており、2019年8月だけで約2万5000haを焼失する結果となりました。

火災の被害にあった総森林面積の3分の2以上がアフリカと南アメリカですが、その他のエリアでも大規模な火災が増えています。特に2019年9月からオーストラリアで発生した森林火災は記録的な規模となりました。

オーストラリア森林火災(2019年9月~2020年2月)

2019年9月頃から南東部の"ニューサウスウェールズ州" を中心に頻発するようになった森林火災は、乾燥・高温・強風の条件が重なりオーストラリア全土で猛威を振るいました。

夏季のピークとなる1月・2月を前にして既に被害は甚大であり、2020年1月11日には、類焼面積10,700,000ヘクタールにも及びました。これは日本の本州のおよそ半分に迫る面積です。

シドニー大学のクリス・ディックマン教授の試算によれば、哺乳類、鳥類、爬虫類など10億以上の生命が失われたと推定されます。

大規模森林火災の影響は生息地が焼失し餌の確保が困難になることから、生き残った動物たちの"絶滅”が危惧されています。

またこの森林火災によって約400メガトンにもなる二酸化炭素が抄出されていて、地球温暖化への影響が懸念されていています。

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まとめ

この記事をざっくり要約すると
  1. 世界の森林面積は上位5か国で世界の半分の面積を占める
  2. 森林の増加面積1位は中国。砂漠化対策への植林で増やす。
  3. 森林の減少面積1位はブラジル。違法伐採とそれに伴う乾燥で森林火災も頻発。
  4. 森林火災は気候変動・温暖化によって増えており、大規模化している

 

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